質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二九号

内閣参質一七三第二九号
  平成二十一年十一月二十日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員草川昭三君提出平成二十二年度予算編成での一般会計・特別会計に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員草川昭三君提出平成二十二年度予算編成での一般会計・特別会計に関する再質問に対する答弁書

一について

 平成二十二年度予算編成に当たっては、「平成二十二年度予算編成の方針について」(平成二十一年九月二十九日閣議決定。以下「予算編成の方針」という。)において、既存予算についてゼロベースで厳しく優先順位を見直すこととしている。
 なお、お尋ねの発言については、予算編成の方針の下で既存予算を見直すに当たって、民主党のマニフェストにおいて経費の「節約額」が示されている公共事業等が主たる削減対象になると考えられる旨を述べたものである。

二の1について

 「ムダづかい」及び「不要不急な事業」については、各事業を必要性・緊要性等の観点から精査した結果であり、一義的な定義をお示しすることは困難である。

二の2から4までについて

 予算編成の方針においては、「ムダづかいや不要不急な事業を根絶すること等により、マニフェストの工程表に掲げられた主要な事項を実現していく」こととしている。
 この方針の下、新規施策を実現するため、すべての予算や事業を抜本的に見直し、新たな財源を生み出すこととしているが、これらは予算編成過程を通じて取り組んでいくものであり、現時点において、お尋ねの「「ムダづかいや不要不急な事業を根絶する」とはどういう状態をもって達成されたといえるのか」及び「いかなる状況をもって公約を達成したと判断するのか」について、お答えすることは困難である。
 なお、予算編成過程において、不要不急な事業と判断され、予算に盛り込まれなかった事業であっても、翌年度以降に各府省が必要と判断し、概算要求がなされることはあり得る。

三について

 御指摘の「不要不急の事業を停止する」及び「ムダづかいや不要不急な事業を根絶する」については、いずれも各事業を必要性・緊要性等の観点から精査する趣旨である。

四について

 「平成二十一年度第一次補正予算の執行の見直しについて」(平成二十一年十月十六日閣議決定)の別紙に掲げられた事業のうち、平成二十二年度予算の概算要求に盛り込まれた事業(一部類似の事業も含む。)の名称は次のとおりである。
 裁判所 裁判所施設の耐震化
 会計検査院 地上デジタル放送移行対策
 内閣 危機管理情報通信設備更新基本計画事業
 内閣府(内閣本府等) 北方領土返還要求啓発施設整備、沖縄科学技術大学院大学の整備促進、国立公文書館における公文書等のデジタルアーカイブ化推進、沖縄不発弾等対策、中央防災無線網施設整備、人道救援備蓄物資の緊急備蓄
 内閣府(警察庁) 次世代安全運転支援システムパイロット事業
 総務省 国民電子私書箱(仮称)関連ネットワーク基盤確立事業、ネットワーク位置情報の活用等によるトラヒックの経路制御に関する実証実験、国内外におけるコンテンツ流通促進
 法務省 法務省施設のデジタル基盤整備推進、耐震対策、再犯防止対策(処遇効果測定体制の整備)、再犯防止対策(地域雇用促進プロジェクト)、保安警備体制の強化、不法滞在者・偽装滞在者の縮減、裁判員裁判実施のための機器整備
 財務省 省エネ機器の設置等、行政機関間のシステム連携などのシステム改修等、施設の耐震化、監視取締用機器等の整備
 文部科学省 準天頂衛星等の開発・利用、メディア芸術の振興(映画フィルム等のナショナルアーカイブ化)、文化振興のための基盤整備
 厚生労働省 医療保険制度の適切な運営(レセプトオンライン化への対応)
 農林水産省 農地有効利用支援整備事業、耕作放棄地再生利用緊急対策、新規就農定着促進事業、集落営農法人化等緊急整備推進事業、農業経営維持支援緊急保証事業、園芸産地再生施設緊急リース事業、新需要創造対策事業、国産原材料供給力強化対策事業、野菜・花き産地高度化緊急支援事業、青果物鮮度保持技術・新流通システム実証事業、施肥体系緊急転換対策事業、飼料用米農薬安全確保事業、飼料稲有効活用緊急対策事業、独立行政法人種苗管理センター施設整備費補助金、有機農業総合支援対策、強い農業づくり交付金、植物工場普及・拡大総合対策事業、戦略的産地振興支援事業、動物検疫係留施設環境対策整備事業、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構施設整備費補助金(遺伝子組換え農作物開発拠点施設整備費)、独立行政法人農業生物資源研究所施設整備費補助金(超高速遺伝子解析拠点施設整備費等)、小水力発電工事等技術強化対策事業、地産地消・産直緊急推進事業(地産地消・直売機能強化等事業及び地産地消活動推進事業(全国推進事業))、地産地消・産直緊急推進事業(仮設型直売システム普及事業(マルシェ・ジャポン・プロジェクト))、農業農村整備における再生可能エネルギー導入支援モデル事業、農村活性化人材育成派遣支援モデル事業、海外日本食・日本食材等市場確保緊急対策、鳥獣害防止総合対策事業、農業・医療福祉連携促進モデル事業、農山漁村地域力発掘支援モデル事業、国営造成施設管理事業(国営造成水利施設保全対策指導事業・ストックマネジメント技術高度化事業)、地域用水環境整備事業、森林整備事業(一般会計)、森林整備事業(国有林野事業特別会計)、独立行政法人森林総合研究所施設整備費補助金、水産基盤整備事業、独立行政法人水産総合研究センター施設整備費補助金、漁業担い手確保・育成緊急対策事業、漁船・養殖施設整備緊急融資利子補給等補助金、国産水産物流通促進特別対策事業、海岸事業(農地)、農地集積加速化事業、土地改良負担金償還特別緊急支援対策事業、需要即応型生産流通体制緊急整備事業(需要即応型水田農業確立推進事業)
 経済産業省 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構船舶建造費補助金、住宅用太陽光発電導入支援対策基金造成事業、新エネルギー導入促進基金造成事業
 国土交通省 官庁営繕事業、地域公共交通活性化・再生総合事業、歩行空間ネットワークデータの整備、住宅ローンの信用収縮対策等、交通施設バリアフリー化、公共交通移動円滑化設備整備費補助金、離島航路補助金、革新的な船舶の省エネルギー技術の研究開発、国土交通本省施設整備、大型船舶に対応した産業港湾インフラの刷新等、スーパー中枢港湾の機能強化、航空大学校庁舎耐震補強工事、羽田空港の容量拡大・機能強化、一般空港整備等、航路標識整備事業
 環境省 し尿・浄化槽汚泥からのリン回収・利活用推進モデル事業、小児環境保健プロジェクト、温泉施設における温暖化対策事業、国立公園等施設の低炭素化等の推進
 防衛省 自衛隊車両のエコカー等への買換え、庁舎・施設等の省エネルギー化、自衛隊病院等の機能強化対策、地上デジタル放送への移行対策、庁舎等の耐震化対策・老朽化対策等、災害対応のための器材等の整備、基地等の安定運用対策等

五について

 平成二十一年度第一次補正予算については、政権交代を受けて、不要不急の事業を停止するという考え方に沿って見直しを行ったものであり、四についてでお答えした事業は、平成二十一年度第一次補正予算においては、「不要不急」に該当すると判断したものである。
 なお、御指摘の「「ムダづかい」か「不要不急」か」については、いずれも各事業を必要性・緊要性等の観点から精査する趣旨である。

六について

 平成二十一年度第一次補正予算のうち、執行停止又は交付を予定している法人等に対する交付辞退若しくは自主返納の要請等を行うこととした事業には、平成二十二年度予算の概算要求が行われたものも含まれているが、こうした事業は、厳しい財政事情の中で、事業の必要性・緊要性等の観点から精査した結果として、平成二十一年度第一次補正予算については執行を停止した一方で、平成二十二年度予算の概算要求に当たっては、各府省が当年度に必要と判断したもの等である。
 平成二十二年度予算の概算要求があったものについては、予算編成過程において事業の必要性・緊要性等の観点から精査することになる。