質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質一七三第二六号
  平成二十一年十一月二十日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員川田龍平君提出日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の高レベル放射性廃液の安全管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の高レベル放射性廃液の安全管理に関する質問に対する答弁書

一の1から3までについて

 本年一月及び二月に日本原燃株式会社再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)のガラス固化建屋ガラス固化セル内において漏えいした高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)のうち、未回収のものについては、今後、日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)が、漏えいした高レベル廃液が付着していると考えられる機器等の洗浄を行い、洗浄に用いた液体を高レベル廃液共用貯槽に回収するものと認識している。また、日本原燃は、回収した液体の放射能量について、当該貯槽における液量及び放射性物質濃度を洗浄作業前後で比較することにより評価し、その結果を、経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)に報告するものと認識している。
 いずれにしても、六ヶ所再処理施設の周辺に設置されているモニタリングポスト等により測定された放射線量や放射性物質の濃度を評価した結果、本件に係る周辺環境への有意な影響はないと判断している。
 なお、放射線のエネルギーや半減期等、放射性物質の特性は、その種類により様々であるため、六ヶ所再処理施設の高レベル廃液に含まれる放射性物質の放射能量と、広島市に投下された原子爆弾により放出された放射性物質の放射能量を、単純に比較することは適当ではないと考えている。

一の4について

 日本原燃からは、本年二月十七日から同月二十三日までの間に、六ヶ所再処理施設の主排気筒排気モニタリング設備において測定を実施した結果、御指摘の「その他α線を放出しない核種」が検出され、分析の結果、当該核種はストロンチウム九十及びイットリウム九十であることが確認されたと聞いている。検出された値は、日本原燃の保安規定において定められた放出管理目標値を大幅に下回るものであるが、放出の原因等について、日本原燃が自主的に調査していると承知している。

一の5について

 日本原燃からは、本年二月二十日及び三月二日には、放射性液体廃棄物の海洋放出は実施していない一方、排水モニタ付近において溶接作業を行ったと聞いていることから、両日に記録された六ヶ所再処理施設の排水モニタの計測値の上昇については、当該作業に伴う電気的なノイズが原因であると認識している。

一の6について

 お尋ねの事前公表の要否については、日本原燃が判断すべきものと考えている。
 なお、保安院においては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第六十七条第一項及び使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第二十一条第二項の規定に基づき、六ヶ所再処理施設の放射性廃棄物の海洋放出口近隣に立地するむつ小川原港付近の海水等に含まれる放射性物質の濃度等について、日本原燃から四半期ごとに報告を受け、これを公表している。

二の1及び2について

 高レベル廃液貯蔵設備を含め、六ヶ所再処理施設の耐震安全性については、六ヶ所再処理施設の事業の指定に係る安全審査(以下「安全審査」という。)の過程において、平成十八年の改訂前の発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(昭和五十六年七月二十日原子力安全委員会決定)等を踏まえて確認している。なお、安全審査の過程においては、科学技術庁(当時)が一次審査を行い、その結果について原子力安全委員会が二次審査を行っている。
 また、原子力安全委員会は、耐震安全性の一層の向上及び国民への説明責任の観点から、関係行政機関に対し、平成十八年の改訂後の発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定)等を踏まえた既設の原子力施設の耐震安全性の確認を求めているが、六ヶ所再処理施設については、保安院が同指針等を踏まえて実施した耐震安全性評価の確認結果について、現在、原子力安全委員会耐震安全性評価特別委員会等において確認しているところである。
 なお、六ヶ所再処理施設に設置されている高レベル廃液に係る貯槽の容量の合計は、約六百八十立方メートルである。

二の3について

 六ヶ所再処理施設において高レベル廃液が漏えいした場合の事故評価については、安全審査の過程において、再処理施設安全審査指針(昭和六十一年二月二十日原子力安全委員会決定)を踏まえて行っており、その結果を公表している。

二の4について

 使用済燃料の再処理施設については、原子炉等規制法に基づき、経済産業大臣が再処理の事業の指定に当たり一次審査を行い、その結果について原子力安全委員会が二次審査を行うこと、また、経済産業大臣が再処理施設の設計及び工事の方法の認可に係る審査や使用前検査等を行い、それに対して原子力安全委員会が必要に応じ調査を行うこと等により、安全の確保を図っている。

三の1について

 日本原燃の採用したガラス固化技術の成立性については、御指摘の答弁書三の1及び2についてで述べたとおりである。
 なお、先般のガラス固化建屋ガラス固化セル内での高レベル廃液の漏えいは、ガラス固化技術の成立性に関係するものではないと認識している。

三の2及び3について

 政府としては、原子炉等規制法に基づき厳格な審査を行った結果、日本原燃に再処理の事業の指定を与えている。また、御指摘の原子炉等規制法第十条第一項及び第二項第五号は、それぞれ、再処理の事業の指定の取消し等について規定する原子炉等規制法第四十六条の七第一項及び第二項第四号のことを指しているものと考えるが、日本原燃に対して同条第一項又は第二項第四号を適用して、事業の指定の取消し等を行う状況にはないと判断している。