質問主意書

第173回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質一七三第五号
  平成二十一年十一月四日
内閣総理大臣 鳩山 由紀夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員浜田昌良君提出我が国の温室効果ガス排出削減中期目標において基準年を一九九〇年とすることの是非に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出我が国の温室効果ガス排出削減中期目標において基準年を一九九〇年とすることの是非に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 我が国は、二千十三年以降の地球温暖化対策について、地球温暖化を止めるために科学の要請する水準に基づくものとして、千九百九十年比で言えば二千二十年までに二十五パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すとの中期目標を表明している。この目標は、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を、前提とするものである。
 気候変動に関する国際連合枠組条約(平成六年条約第六号。以下「条約」という。)の規定を踏まえ、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書(平成十七年条約第一号。以下「京都議定書」という。)においては、条約附属書Ⅰに掲げる締約国は、条約附属書Ⅰに掲げる締約国により排出される温室効果ガスの全体の量を二千八年から二千十二年までの約束期間中に千九百九十年の水準より少なくとも五パーセント削減することを目的として、温室効果ガスの人為的な排出量の合計が、京都議定書の規定に従って算定される割当量を超えないことを確保することとされている。二千十三年以降の地球温暖化対策についての我が国の中期目標は千九百九十年比で表しているが、他の国においては千九百九十年以外の基準年を用いている例もあることから、国際的な枠組みにおける基準年の在り方については、千九百九十年やそれ以外の年も含め、温室効果ガスの排出削減に係る各国の努力の比較可能性という観点から、今後の国際交渉の中で議論していく考えである。なお、地球温暖化対策としては、実際に削減する排出量が重要であることから、その意味において、御指摘の「スピーチ」と「演説」との間に違いはない。

三について

 御指摘の点については、二千十三年以降の地球温暖化対策における、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意が、重要であると考えている。

四について

 「京都議定書目標達成計画」(平成十七年四月二十八日閣議決定)においては、京都議定書第三条1に規定する温室効果ガスの排出量削減約束の達成に向けて国民各界各層が最大限努力してもなお不足する約一億トンの差分について、京都メカニズムを活用したクレジット(京都議定書第三条7に規定する割当量、京都議定書第六条1に規定する排出削減単位及び京都議定書第十二条3(b)に規定する認証された排出削減量をいう。以下単に「クレジット」という。)を取得することにより対応することとしている。また、クレジットの取得に際しては、リスクの低減を図りつつ費用対効果を考慮して取得すること、及び地球規模での温暖化防止や途上国の持続可能な開発への支援を図ること、という観点を踏まえることが重要であるとしている。
 こうした観点を踏まえ、御指摘のウクライナ、チェコ等の政府との間で、クレジットの移転に伴う資金を温室効果ガスの排出削減その他の環境対策目的に使用するという条件を盛り込んだ政府間合意文書の作成やクレジット購入契約の締結を行っていることから、これらの国々からのクレジットの取得は、「京都議定書目標達成計画」に基づく適切なものであると評価している。