質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九四号

行政刷新会議による防衛省所管に係る事業仕分けに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十二月三日

佐藤 正久   


       参議院議長 江田 五月 殿



   行政刷新会議による防衛省所管に係る事業仕分けに関する質問主意書

 鳩山由紀夫内閣が掲げる政治主導の一環として、行政刷新会議にワーキンググループ(WG)が置かれ、二〇〇九年十一月十日から事業仕分け作業が開始され、九日間で約四百五十事業を扱い、防衛省所管の事業も十七事業選定され、廃止、見直し等の判定が下された。
 このことを踏まえ、以下質問する。

一 防衛政策は専門性が高い分野であると考えるが、仕分け人には防衛の専門家はほとんどいない。いわば、防衛に関しては素人なわけであるが、このような仕分け人が各テーマ一時間程度で、政策について理解した上で、事業仕分けを行えるとは到底思えないが、このことについて政府の見解を示されたい。

二 防衛分野の仕分け人の選定基準等について示されたい。

三 防衛分野の事業仕分けの対象事業は誰が選定したのか。

四 事業仕分けによって、自衛官の実員増要求は「来年度の予算計上は見送り」と判定された。
 しかし、事態発生時に迅速・適切に行動し、国民の安全を確保するためには第一線部隊の充足率の向上は急務であると考える。自衛官の実員増は自衛隊の体制にかかわる問題であり、わが国の防衛力のあり方に関する議論を踏まえて決定されるべき事業であり、防衛政策に知識のない仕分け人によって結論が出されるのは問題があると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 事業仕分けによって、「銃器類・弾薬のコスト削減」は「見直しを行う」と判定された。
 しかし、わが国の武器輸出三原則などの特殊性を無視して外国から安価な製品を輸入すること等は問題であると考える。また、弾薬の調達は有事における継戦能力にかかわる問題であり、価格が安価であるという理由で安易に輸入品に頼るべきではなく、国内において製造基盤を確保しておくことは重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 事業仕分けによって、国際平和協力センターが「廃止」と判定された。
 しかし、PKOを含む国際平和協力活動は防衛政策の柱の一つである。この能力を高めることはわが国の安全保障上重要な施策である。PKO及び人道復興支援に当たっては、カンボジア、アフリカ、イラクなどといった日本と異なる国々への派遣のため、風土や習慣、文化、疾病、言語などを事前に学ぶ必要がある。そのよりどころとなる国際平和協力センターを廃止することは日本のPKOへの関与を後退させることとなる。
 現在、国連関連の派遣要員数の順位は、日本八十四位、インド三位、中国十四位、韓国三十九位であり、こうした実態に配慮せず、また、国際的な人的貢献の必要性をまったく考えない結論であると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。