質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九〇号

森林整備事業の拡充・強化による「元気な森林づくり」の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十二月三日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   森林整備事業の拡充・強化による「元気な森林づくり」の推進に関する質問主意書

 世界の二酸化炭素排出量の二〇%が森林に起因するといわれ、気候変動や不法伐採を含めた森林劣化・消滅等が地球規模の問題として議論されているが、森林が急速に破壊される時代にあって、我が国は、課題があるものの国土の六七%が森林という世界有数の森林を持つ国であり、「森林王国」とまでも言われている。
 そこで、以下質問する。

一 「元気な森林づくり」への基本的認識について

 太陽は燦燦と光り輝き「森林王国」を保養し、日本列島をとり囲む四海から立ちのぼる水蒸気は山々の連峰にあたり、上流域の雪や雨となって森に降りそそぎ、広大な大地を潤し、源流から大河川となり海に注いでいる。そして再び蒸発して森へと大循環している。
 「太陽と森と水の国」ニッポンは、貴重な水と緑豊かな癒しの空間であり、これは未来の子ども達に贈る貴重な財産であり、未来の子ども達から預かっている資産でもある。この「元気な森林と豊かな水」を守ることは、森林教育(木育)を含めて私達の責務である。
 また、「元気な森林」を守ることは、土砂災害を防ぎ、豊かな水を生み、多くの生き物が暮らす「森・里・海」が連環する「緑の社会資本」を形づくることにほかならないと考えるが、政府の認識を示されたい。

二 森林整備事業の拡充・強化と森林施業の効率化について

 政府・民主党は、参議院本会議や予算委員会等において路網整備や間伐の必要性を言いながら、平成二十一年度第一次補正予算に計上されている「森林整備費」二四六億円を凍結し、更に、平成二十二年度予算の概算要求で対前年度比一五・三%マイナスの一三七億円と大幅に減額している。
 今こそ森林整備事業を拡充・強化し、林道・作業道等の路網の整備を促進するとともに、集約的林業経営と「提案型」施業の普及拡大及び高性能林業機械等の導入を図り、高効率・低コスト化による利益のでる林業経営を構築することが喫緊の課題と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 「森林認証制度」等の普及拡大と国産材のブランド化の推進について

 「元気な森林」の再生には、林業・木材産業などの上・下流の連携が不可欠であるが、消費者に信頼と安心を届けるSGECなどの「森林認証制度」等の普及拡大と、持続可能な『緑の循環』システムの構築によって消費者に信頼と安心を与える「木材のブランド化」を推進することについて、政府の見解を示されたい。

四 森林の担い手等の育成について

 林業・木材産業等の再生及び活性化の要として、森林の担い手の育成と、豊かな森林を守るための「グリーン・サポーター」の創設が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

五 森林の効用と里地里山の保全について

 以下の三点については、COP一〇を迎える我が国において、具体的な先進事例として世界に紹介できるものであると同時に拡充されるべきものであると考えるが、政府の見解を示されたい。
1 「生物多様性の復元」と「持続的な地域づくり」をめざす「赤谷プロジェクト」(群馬県)等の拡充と、生物多様性など自然を活かした里地里山の保全対策を推進すること。
2 児童・生徒などの豊かな人間性や社会性を育むために「グリーン・ツーリズム」や「体験学習プログラム」、「エコ・ツーリズム」を積極的に推進すること。
3 癒しの森づくりで「森林セラピー基地」や「ウォーキングロード(セラピーロード)」の推進に取り組むこと。

六 都市と農山村との交流事業の推進について

 都市住民や若者、団塊の世代の田舎暮らしへのニーズに応える都市・農山村交流事業や、都市から農村への定住の促進に取り組むとともに、交流滞在施設などを整備し、地域固有の資源や地域の知恵を活かした中山間地域の活性化に取り組むべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 その他

 以下の三点について、政府の見解を示されたい。
1 花粉症対策としての少花粉スギや無花粉スギの森林への転換等の加速化を図ること。
2 鳥獣による食害対策に取り組むこと。
3 「森林環境税」等の導入を図ること。

  右質問する。