質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八九号

「林業・木材産業」の復興に向けた国産材の利活用の拡大と新産業への取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十二月三日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「林業・木材産業」の復興に向けた国産材の利活用の拡大と新産業への取組に関する質問主意書

 「森は海の恋人。逆も真なり。」 元気な森林が多様な自然の保全や地域の活性化につながる力を秘めている。我々人類は、多様で再生可能な自然の力、森の力、特に日本国内の約一千万ヘクタール(世界の十二分の一に相当)に及ぶ人工林を賢く利用しつつ、木材自給率を向上させ、これらを地域活性化につなげ、もって「森・里・海」の連環を深め、究極は「身土不二」が透けて見えてくる国土形成を図るべきである。
 以下、「林業・木材産業」の復興に関して質問する。

一 林業・木材産業の活性化について

 「元気な森林」の再生には、「ウッドマイレージ」や「地産地消」の普及・啓発による、国産材の利用拡大と林業・木材産業の活性化が不可欠であると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 林業・木材産業の川上から川下に至るシステムの速やかな構築について

 森林所有者、森林組合、流通・加工業者、住宅メーカー等、川上から川下に至る事業者の連携強化によって高効率化を図り、低コストで安定的な大ロットの木材供給が可能となるシステムを重点的にしかも速やかに構築することについて、政府の見解を示されたい。

三 木質バイオマスの推進と支援措置の強化について

 木質バイオマスなどの活用の推進は、地球温暖化対策などの重要な一里塚であり、「バイオマス活用推進基本法」に基づく基本計画の早期策定によって、バイオマスの総合的、一体的な取組の拡大を図ることが重要である。
 そこで、「緑の大油田」といわれる未利用の間伐材や林地残材、製材工場の木くずや樹皮等の森林資源を活用したバイオマス発電や、バイオ燃料(木材燃料、ペレット、バイオエタノール)などの木質バイオマスを推進するとともに、これらに関する優遇税制などの支援措置の強化を図ることに関して、政府の見解を示されたい。

四 林業・木材産業における「農商工連携事業」の強化について

 林業・木材産業と他産業との「農商工連携事業」の強化によって、消費者のニーズに応えた商品の開発や販売先の拡大など新たな需要を拡大することが重要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 薪ストーブやペレットストーブ、チップボイラー等の普及・拡大について

 CO2の排出と吸収が同じでカーボンニュートラルであり、地球温暖化対策上有効な薪ストーブやペレットストーブ、チップボイラーなどに関して、学校等の公的施設や事業所などへの積極的な普及・拡大を図るための支援策について、政府の見解を示されたい。

六 森林化学工業等の新産業の育成拡大について

 従来の石油由来の石油化学工業から、樹木のリグニンなどを活用したバイオプラスチック等、二十一世紀の先端技術と言える森林資源由来の森林化学工業などの新産業への展開を強化するため、研究開発への支援を強化すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 「ハイドロバレー構想」の導入について

 地球温暖化対策に有効なバイオマス、太陽光、風力資源を利用した発電や中小河川を利用した中小水力発電による「ハイドロバレー構想」の導入によって、中山間地域でのエネルギーサイクルの構築を図ることについて、政府の見解を示されたい。

八 グリーン電力証書及びグリーン熱証書の活用について

 バイオマス発電などの再生可能エネルギーや関連エネルギーによって発生する熱について、カスケード的に活用できる技術開発と同時に、電力証書、熱証書が効果的にマーケットにおいて流通する仕組みを導入し、取引が活発化するようにするとともに、国内クレジット制度との連結についても検討することが必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。