質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六八号

修復腎移植問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月二十七日

衛藤 晟一   
佐藤 信秋   
古川 俊治   
森田 高   


       参議院議長 江田 五月 殿



   修復腎移植問題に関する質問主意書

一 わが国臓器移植においてもっとも実施数が多く、かつ移植待機者の多い腎臓移植について

1 過去二十年間における献腎移植(「心停止後」および「脳死下」)、生体腎移植、さらに修復腎移植における腎臓移植の実施数、術後の生存率、生着率(五年後、十年後、十五年後)を示されたい。
2 過去二十年間における生体腎移植における親族(六親等内の血族、配偶者など)、第三者間の内訳を示されたい。
3 過去二十年間における海外渡航腎臓移植者数を示されたい。

二 腎臓移植希望者の現状について

1 現在の腎臓移植希望者の登録数、平均待機日数を示されたい。
2 全国における献腎登録者数を示されたい。
3 提供臓器数の圧倒的に少ないわが国で、国内でこれをまかなう厚生労働省の方針と具体的施策を示されたい。

三 修復腎移植について、厚生労働省は「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正においてこれを原則禁止とした。

1 修復腎移植問題に関する調査委員会は五つあった。厚生労働省の調査班(班長:相川厚・東邦大学医学部教授)は、臓器提供のみに関係し院内に調査委員会が設置されなかった六つの病院について調査し、平成十九年三月二十六日には、全例の摘出を「問題あり」とする調査結果を公表した。この委員会は摘出に関する調査委員会であるが、範囲外である移植に関しても言及し、全例を「適応なし」、「疑問」と範囲外の言及をしている。市立宇和島病院の調査委員会(委員長:深尾立・千葉労災病院長)は、同年四月二十九日に全体的に否定的な調査結果を公表した。一方、香川労災病院調査委員会(委員長:井上一病院長)は同年四月十一日、四件の摘出は医学的には妥当だったと判断した。呉共済病院外部調査委員会(委員長:田辺昇弁護士)も同年六月二十五日、「患者と強い信頼関係で結ばれており診療は適切だった」とし、「医学的に否定することは適当ではなく今後の研究課題」とした。宇和島徳洲会病院の調査委員会(委員長:貞島博通院長)は平成二十年一月十二日、六例の摘出と十一例の移植すべてを適応あり、または容認できる範囲のものとした。このように、修復腎移植に関する調査結果は、調査委員会の間で大きく違う。
 しかし、平成十九年五月十一日には、厚生労働省は改正のためのパブリックコメントの募集を告知、その段階で「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の改正案は作成されている。なぜ、全調査委員会の報告書を待たずに原則禁止の方向性を打ち出せたのか。五つの調査委員会の報告書をどのような段階で誰が、総合的に判断したのか。

四 修復腎移植を原則禁止した「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正は、「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」での審議を前提としていた。しかし、その審議方法に大きな疑問がある。
 同委員会では、第二十四回(平成十八年十一月二十七日)および第二十五回(平成十九年四月二十三日)において修復腎移植に関する審議が行われている。特に第二十五回では修復腎移植をどう捉えるかの議論が沸騰し、結論はまとまらないまま継続審議となった。永井良三委員長(東京大学大学院医学系研究科教授)も、「もう少し事務局と相談して、それをまた今日欠席の先生方を含めてその辺を持ち回りで御審議いただき、それでまだ合意が得られないということであれば次回さらに継続審議ということでいかがでしょうか。」と発言している。しかし、その後、同委員会は平成二十一年九月十五日まで開催されず、第二十六回の同委員会では修復腎移植についてまったく言及されていない。この会議の中で、原口真臓器対策室長(当時)は「今回の一連の事件の教訓としては、行われていた病腎移植はまず否定されなければいけないというのが一点だと思っております」と発言し、事務局が「結論有りき」の姿勢を明確にしてさえいる。
 修復腎移植を原則禁止した「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正は、「厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」での十分な審議と結論を経ていたのか。なぜすべての調査委員会の結果が出ない不十分な情報下で修復腎移植の是非を問う議論がなされたのか。

五 修復腎移植を原則禁止とした「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正時に、厚生労働省はその判断を一部の学会関係者等の見解に基づいて行っている。宇和島徳洲会病院や呉共済病院(広島県)などの調査委員会が最終的な結論を出していない段階で、日本移植学会、日本透析医学会、日本泌尿器科学会、日本臨床腎移植学会の四学会は平成十九年三月三十一日、「現時点では妥当性がない」とする見解を発表したが、この見解には疑問が大きい。

1 同年四月一日付の産経新聞は、「当初予定されていた五学会のうち日本病理学会、日本腎臓学会が参加を見合わせた。代わりに、日本移植学会副理事長が以前理事長だった日本臨床腎移植学会が参加する「数合わせ」で、権威を維持した形だ」と評している。厚生労働省は、こうした摘出と移植の妥当性を組織的に客観的な検証に基づいて判断できる病理専門医の判断が入らない、また、専門学会間で見解が一致していない見解に、どのような意味があると考えるか。
2 摘出と移植の妥当性を唯一判断できる病理学会は、「五学会でご議論の結論が病理学会として充分に賛同できるものであれば、そのときに日本移植学会のご了解の上で、六学会として参画する可能性はございます」と見解を発表しているが、その後病理学会へは協力要請はなされたのか。また、そのことを厚生労働省は確認しているか。

六 修復腎移植を原則禁止へと導いた医学的な根拠のひとつに、その生存率、生着率の低さがある。一部の学会関係者等の見解発表前日の平成十九年三月三十日、日本移植学会の高原史郎・大阪大学教授が、市立宇和島病院における二十五件の修復腎移植の成績だけを取り上げ、「生着率、生存率が低く、がん患者からの腎移植は特にそれが顕著だ」と記者会見した。

1 すでに四十二例の修復腎移植のデータが出そろっていたにもかかわらず、なぜ修復腎移植全例による生存率や生着率を出さなかったのか。また、記者会見では、「中間報告」とされていたが「最終報告書」は作成されているのか。それぞれ政府の承知しているところを示されたい。最終報告書が作成されているのであれば、その概要を示されたい。
2(1) 宇和島徳洲会病院は、市立宇和島、呉共済の二病院と共同で集計した病腎移植の全症例のうち検証可能な四十二例の追跡調査結果をもとに生存・生着率を算出した。このデータを確認、検証はしているのか。
(2) 学会関係者の検討対象にならなかった二病院(宇和島徳洲会病院、呉共済病院)では平成三~十八年に計十七例の病腎移植が行われ、うち十六例が生存、十五例が生着しており、生存・生着率とも好成績である。一方、市立宇和島病院では二十五例中十五例が生存、うち七例が生着しており、成績が劣っている(いずれも当時)。結果的に学会は不成績の病院だけを取り出して解析したことになる。特にがんの症例だけに限ると、学会関係者の検討対象にならなかった二病院では、腎がん、尿管がんの修復腎移植六例すべてが生存・生着している。これら二病院のデータを加えると、前記の一部の学会関係者等の見解とは大きな違いが出てくる。厚生労働省は、こうした隔たりのある医学的データだけを基に修復腎移植を否定したのではないか。

七 修復腎移植を原則禁止へと導いた一部の学会関係者等の見解は、修復腎移植に医学的妥当性がないとする三つの主張がある。

1 第一に、これらの学会関係者は「四センチ以下の小径癌は部分切除が標準的治療」と主張している。この主張は、現実の医療の実態から大きく乖離している。小径腎癌の部分切除について、国内では十分な学術的調査が行われているとはいいがたい。学会関係者は四センチ以下の小径癌は部分切除が適切と指摘しているが、それは、今後の方向性としてはあり得たとしても、少なくとも実地との乖離を無視して、国内の学会が主張できるものではない。修復腎移植問題の発生を機に藤田保健衛生大学の堤寛教授が実施した国内調査によると、四つの大学病院を含む十四の病院の病理部に提出された九百四十一件の摘出腎臓のうち、四センチ以下の腎癌が部分切除されていたのは、平均で三十%、中央値で十七%に過ぎなかった。つまり大多数の四センチ以下の腎癌は全摘されていた。
 米国における腎癌摘出に関する調査論文でも、全体の九十二・五%が根治的腎摘出術(全摘出)になっている。一部の学会関係者等の主張する「四センチ以下の小径癌は部分切除が標準的治療」が正当な主張であるとするならば、全摘した場合は標準治療に当たらないのか。また、独立行政法人国立病院機構に属する全国の病院、公立病院、旧国立大学病院等での小径がん治療における部分切除数・率を示されたい。
2 第二に、これらの学会関係者は、「移植に使われる腎臓なら本人に戻すべき」と主張している。しかし、いったん取り出した腎臓を再び患者さんに戻す「自家腎移植」は、さらに数時間の手術時間を要し、高齢者や他の基礎疾患を持つ患者などには侵襲性が高く、技術的にも難易度が高い手術であるため、合併症の危険性が高く、現実の医療では非常に症例数が少ない。安全性を重視するため、自家腎移植よりも全部摘出治療を望む患者さんが多いと聞く。
 一方で腹腔鏡を用いた最新の術式は高度な技術を要し、腎臓の全部摘出の割合は再び高くなりつつある。現時点でさえも国際的には、いまだ全部摘出が平均的医療であり、ましてや修復腎移植実施当時(一九九三年~二〇〇六年)は、当然の判断だと思われる。全国的に少数である「自家腎移植」が修復腎移植否定の根拠となっているのではないか。また、こうした調査もせず厚生労働省は一部の学会関係者等の主張を鵜呑みにしたのではないか。
 さらに、「自家腎移植」をすべきだったと主張するのであれば独立行政法人国立病院機構に属する全国の病院、公立病院、旧国立大学病院等での「自家腎移植」の実施数、実施割合を示されたい。
3 第三に、これらの学会関係者は、「癌が転移する」ため修復腎移植は医学的妥当性がないと主張している。しかし、日本移植学会などが癌転移の可能性の根拠とする「イスラエル・ペン腫瘍登録」のデータベースは古い。ペン教授の後継者である米シンシナティ大学のブエル教授らは、腎がんを切除した腎臓を移植に用いた十四例を五年間追跡し、一例も再発がなかったと報告している。一方、ヨーロッパの中で最も先進的ながん患者登録と移植者登録をリンクさせた「がん追跡調査」を行っているイタリア国立移植センターと米ピッツバーグ大学は、二〇〇二年から二〇〇四年の間に癌の様々なリスクを有する死体ドナー五十九例由来の臓器による百八例の移植を対象分析し、結論として、「新生物のリスクを有するドナー由来の臓器から、レシピエントが暴露される癌伝播のリスクは、少なくとも我々のコホート(大規模調査)では低いことを示している」とし、さらに移植後に発生した腫瘍がドナー由来かレシピエント由来なのかに関しても、遺伝子解析した結果では、ドナー由来のものはなかったと報告している。そして、切迫した状態の移植患者が臓器を待っていて、癌のリスクを有するドナーが利用可能な場合には、利用可能性を注意深く探るべきであるとしている。
 現実問題として、国内修復腎移植四十二例でもがんの転移は確認されていない。
 一部の学会関係者等の見解は、これらの事情を認識していないか、無視している。厚生労働省は移植におけるがん転移の最新の医療情報を示されたい。

八 修復腎移植は世界的な移植臓器不足の中、国内外で数多く実施されている。こうした事実がまったく報じられないまま、患者救済の道が閉ざされている。

1 一部の学会関係者等が「あり得ない医療」と否定した修復腎移植は、これまで国内で学会発表されたものだけでも百例近くある。平成五年には日本移植学会の大島伸一氏の公認の下、藤田保健衛生大学で第三者への修復腎移植が行われている。第二十五回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会(平成十九年四月二十三日)でも、死体腎移植の際に使用される腎臓も阻血性変化が発生しているため病的であることや、生体腎移植時に疾患があり修復して移植されることがたびたびあると指摘されている。厚生労働省はこうした医療現場、移植現場での実態を把握しているのか。また、これまで多数行われた国内の修復腎移植の実績を把握しているのか。
2 オーストラリアのクイーンズランド大学のデビッド・ニコル教授らも現在まで標準治療として六十例以上を行い、がんの転移はない。平成十九年十二月には、米カリフォルニア大サンフランシスコ校で腎細胞癌を修復した腎臓を移植した症例が、平成二十年には米メリーランド大学が五例の修復腎移植を発表している。平成二十年八月には第二十二回世界移植学会(シドニー)で藤田士朗・フロリダ大学准教授が日本国内の修復腎移植四十二例を、デビッド・ニコル教授も自らの実績を発表し、大きな反響を得ている。厚生労働省はこうした海外の修復腎移植の実態を把握しているか。また、関係論文の収集検討は行っているのか。

九 修復腎移植について、海外の実態を調査するためとして、厚生労働科学研究費補助金を受け「国外における修復腎移植の研究に関する調査」(主任研究者:高原史郎・大阪大学教授)が実施され、その報告が行われた。

1 この調査報告はイギリスの古い移植ガイドライン(二〇〇三)及び個人的な見解の電子メールのみに基づいている。通常医療として多くの患者を救っているニコル教授に対しては「電子メールで何度も問い合わせたが返答がなかった」と報告している。しかし、ニコル教授は「そのような問い合わせはまったくなかった」と証言している。公的な資金を投入したにもかかわらず、これほど杜撰な報告内容だと厚生労働省は認識しているか。
2 平成二十年二月二十一日に開催された「修復腎移植を考える超党派の会」でもこの調査報告が取り上げられ、参加した国会議員から厚生労働省に対して、「病腎移植先進国のオーストラリア、アメリカ、イタリアなどの調査報告がなぜないのか」、「厚生労働省に都合のいいデータだけを出しているのではないか」との質問が出たが、厚生労働省側は、「現在調査中」、「この会合には間に合わなかった」などと答えた。「現在調査中」と答えたものは、その後調査が終了しているか。終了しているのであれば、その報告書の概要を示されたい。

十 修復腎移植四十二例は、特殊医療であるため保険適用がないとされている。

1 レセプト請求に際して、複数の医師が「病気の臓器を修復して移植に使用」という内容を手書きで付記していたことを証言している。一部は高額医療費の審査の過程で、厚生労働大臣の委任業務である東京本部での社会保険診療基金の特別審査会で審議され、認められている。請求を認めた審査機関は、どのような判断を行ったのか。また、その責任はどのようなものか。
2 修復腎移植は愛媛県だけではなく広島県でも実施されている。なぜ愛媛県だけが処分の対象となり、広島県はそうでないのか。特殊医療であるとすれば日本国内で平等に保険診療に関する法令上の解釈がなされるべきではないのか。
3 修復腎移植は国内の大学病院などでも多数実施されているが、それらのうち保険請求が行われていたものに関しては、すべて返還請求、あるいは保険医療機関の指定取り消しを求めるのか。
4 修復腎移植は、既存の医療機器や薬剤、術式を使った移植である「同種腎移植術」の枠組みの中で行われていた。厚生労働省の特殊医療の定義はなにか。修復腎移植が特殊医療に当たるとする根拠は何か、特殊医療に該当するか否かは誰の責任と権限で審査し決定されるのか。

十一 現在、修復腎移植は原則禁止のままであるが、臨床研究としてのみ実施できる。

1 臨床研究として医学的適応を認めながら、「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」(ガイドライン)において、修復腎移植を原則禁止としたままなのはなぜか。
2 平成二十一年一月二十七日、臓器移植対策室長名でガイドラインの取扱いについて新たな通達を出し、臨床研究の対象疾患に制限がないことを改めて確認した。このような通達はなぜ行われたのか。
3 第二十五回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会(平成十九年四月二十三日)においても、永井良三委員長(東京大学大学院医学系研究科教授)は、「あえて病的腎をどうするかというように記載する必要はないように私は思います。これは非常に奥の深い問題で、医療と研究というところに踏み込んできた問題ですね。そういう形で事務局と打ち合わせをさせていただき、また先生方に回覧させていただきます。それでもまだ問題があるということであれば、さらに継続審議としたいと思います」と発言した。この点について、どのような話し合いや回覧などが行われたのか。また厚生労働省は修復腎移植に関する臨床研究の推進に関して、現在どのような努力をしているのか。

十二 修復腎移植の臨床研究は容認されているが、現実的にはその実施が非常に困難な環境下にある。

1 臨床研究が開始された場合、当該医療機関もしくは患者の負担が大きく、実地医療としての定着にはまだまだ課題が多い。厚生労働科学研究費補助金などでの研究支援などは検討されているのか。また、臨床研究の場合、又は、仮に先進医療として承認された場合、術後の免疫抑制剤などの医療費はどのように扱うのか。さらに、今後、保険収載の道筋は具体的にどのようになるのか。
2 日本移植学会は、生体腎移植ガイドラインにおいて、ドナーの適応基準として、「疾患の治療上の必要から摘出されたものは移植の対象から除く」と規定している。また臨床研究においては学会による倫理委員会による二重審査などを条件づけている。平成二十年四月の診療報酬改定では、死体腎移植手術がまったく増加しないにもかかわらず、厚生労働省は、生体腎移植手術の診療報酬を一挙に四割以上という異例の削減を行い、さらに生体腎移植実施に関し、日本移植学会のガイドラインや倫理指針を順守していること、死体腎移植一例か生体腎移植五例以上を経験した医師を含む常勤医二人以上、などの施設基準を初めて打ち出した。単に私的な一学会に過ぎない日本移植学会のガイドラインなどの条件の設定によって、保険診療としての修復腎移植の実施が極めて困難となっているが、厚生労働省はこの事態をどのように考えるか。

十三 移植臓器不足と海外渡航移植の自粛という世界的な流れの中で、各国に自国内での臓器獲得の努力が求められている。すでにアメリカを始め欧州各国でも「拡大ドナー(Expanded Donor)」、「境界ドナー(Marginal Donor)」などの呼称で、「絶対安全なドナーはいない。完全に健康とはいえないドナーの臓器でもメリットが多ければ、多少のリスクがあるドナーからの臓器でも積極的に利用すべきである」という考え方が広がっている。修復腎を求める民事裁判では、「修復腎移植を受ける権利」が主張されている。また、「臓器の移植に関する法律」の基本的理念においても「移植術を必要とする者に係る移植術を受ける場合は、公平に与えられるよう配慮されなければならない」としている。

1 民意の吸い上げに関しては、パブリックコメントの募集(平成十九年五月十一日~六月十一日)を実施したが、どのような意見がどれだけ寄せられ、どのような検証がなされたかを詳細に示されたい。
2 これまで厚生労働省には七十万人を超える修復腎移植推進を求める署名が提出されている。また、長崎医療センターの松屋福蔵・泌尿器科医長らのグループが行った献腎移植希望登録更新者と透析患者を対象とした意識調査では、条件つきを含めた約半数が修復腎移植を受けたいと希望している。こうした状況に対して、厚生労働省はさらに広く、深く患者の声に耳を傾けるべきではないか、また、具体的な対応策はあるのか。

十四 腎臓移植までに十七年も待つという極めて深刻なドナー不足の現状は、生存権が侵害されているとさえ言える。したがって修復腎移植を含めて臓器移植問題を解決することはきわめて重要かつ緊急の課題であると考える。

1 「修復腎移植を考える超党派の会」(会長:杉浦正健・元法務大臣)は、平成二十年五月十三日に修復腎移植容認の見解を示したが、この見解に対してはどのような対応をしたのか、この内容に関して検討や調査はなされたのか。
2 国内で最も数が多く実施されている移植医療である腎臓移植に関し、現状での絶対的な提供臓器不足の中にあって生体腎移植、死体腎移植に次ぐ「第三の腎移植」として修復腎移植を生かすことは考えていないのか。

  右質問する。