質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六七号

産業技術総合研究所のポスドク研究者の公務員宿舎への入居に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月二十六日

紙 智子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   産業技術総合研究所のポスドク研究者の公務員宿舎への入居に関する質問主意書

 二〇〇八年にポスドク研究者の公務員宿舎への入居が実現した。その際、入居期限が今期の中期目標期間終了時までとされたため、他の多くの独法と比べて一年早く第二期中期目標期間が終了する産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)のポスドク研究者は、来年三月に公務員宿舎を出なければならないとされている。多くのポスドク研究者は中期目標期間終了と同時にそれぞれが雇用されているプロジェクト等による任期切れを迎えるとは限らず、このままでは任期途中で宿舎を出なければならない者もでてくる。
 そこで、以下の通り質問する。

一 ポスドクの若手研究者の公務員宿舎への入居に係る要求は、今もなお、切実である。それはポスドク研究者にとって、将来の雇用が不安定であるため、職場の処遇や生活面での安定の確保がなによりの支援となるからである。一般にプロジェクトによって雇用されているポスドク研究者の任期は必ずしも中期目標期間の期限とは一致しておらず、任期途中の宿舎からの退去となれば経済的にも精神的にも大きな負担となる。そのことを考慮して、産総研当局は入居継続の要求を政府に対して行っている。この背景には、産総研労組が二〇〇九年秋季要求書で、「第三期におけるポスドクへの公務員宿舎貸与を緊急に適切な方法で」との切実な要求をだしている状況がある。
 住宅保障は各独法の責任の範疇との考え方もあるが、運営費交付金が毎年削減されるなかで、各独法の財政状況は逼迫している。
 このような状況に鑑みて、産総研のポスドク研究者の任期終了までの入居期限の延長を認めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 産業技術力強化法は、「産業技術力が産業構造の変化、技術の進歩等の内外の経済的環境の変化に適確に対応して我が国産業の持続的な発展を図るための基盤」とうたうとともに、「研究者及び技術者の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずる」と国の責任を明記している。
 産業技術力強化のうえで、産総研は大きな役割を担っていることは疑いのないことであり、その研究をささえているポスドク研究者の宿舎への入居を引き続き保障していくことは、この法律に照らしても重要であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 筑波研究学園都市は、高度の研究教育施設と良好な研究環境をつくることを目的に建設された。学園地区にはこのような研究機関等に勤務する者の宿舎が配置され、各研究施設がその周辺に配置されている。このような職住近接の都市構造は研究環境として優れたものである。良好な居住環境は、優秀な研究者を海外から招くためにも不可欠な条件である。この国民的財産を守り、有効に活用することは政府の責任である。
 筑波研究学園都市の公務員宿舎を、科学技術の将来を担うポスドク研究者のために活用することは、研究学園都市の本来の趣旨に最もかなうものである。多くの空き家が活用されずに放置されている中で、短期雇用のポスドク研究者の生活支援にいかしていくことが、国有財産の最も有効な活用であると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 政府は、昨年十二月に、「国家公務員宿舎を活用した離職者への緊急的支援」をうちだし、一般の離職者むけに公務員宿舎を貸与するという、従来にはなかった柔軟な活用策を講じている。その点を考えると、あと四ヶ月しか宿舎に居られないという瀬戸際にたつ産総研のポスドク研究者にたいして、そうした柔軟な対応が出来ない理由はどこにもないと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。