質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三五号

「グリーン産業革命」を目指した電気自動車等のエコカーの加速的普及策の確立等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月十六日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   「グリーン産業革命」を目指した電気自動車等のエコカーの加速的普及策の確立等に関する質問主意書

 鳩山総理は、去る九月二十四日の国連総会において我が国の温室効果ガスの一九九〇年比二五%削減を世界に明言した。
 その実現のためには、我が国の経済構造や社会構造を根本的に変える「緑の経済と社会の変革」(日本版グリーン・ニューディール)への本格的な転換こそが必要であり、それは世界に向けての我が国の果たすべき使命でもある。
 そこで、公明党は本年一月二十三日、『日本版ニューディール「グリーン産業革命」への提言』と『地球温暖化対策の国際交渉等に関する申し入れ』と題して麻生前総理に要望したところであるが、世界的な経済の低迷に直面する今こそ、環境と経済が両立する新たなビジネスモデルの構築、すなわち「グリーン産業革命」により、今後五年間で市場規模一〇〇兆円、二〇〇万人超の雇用確保を目指すときであると考える。
 そこで、以下質問する。

一 電気自動車などの次世代自動車の普及目標について

 オバマ政権をはじめ欧米各国のグリーン化は急加速的に進みつつあり、我が国においても自動車産業などの外需依存からの脱却と内需拡大を含めたバランスある経済復興、雇用創出は喫緊の重要課題であると考える。
 温室効果ガス二五%削減を実現するための中期目標の見直しに当たっては、太陽光発電、次世代自動車、住宅・建築物等の従来の普及目標に限定せず、各分野の今後の普及目標を総合的に検討すべきであり、その経済効果や雇用創出効果などについても検討すべきである。また、五年後程度の中間目標も設定すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
 さらに、いつまでに中期目標の見直しを行うのか時期も示されたい。

二 エコカーに対する補助制度や減税措置の延長について

 CO2排出削減に大きく寄与する電気自動車等の加速的な普及促進を図るため、補助金や減税措置などの更なる延長と自動車ローン金利ゼロなどの優遇措置の拡充について、政府の見解を示されたい。

三 「低電圧充電設備」や「急速充電設備」等のインフラ整備について

 安価な余剰夜間電力を活用することもできる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(pHV)等の普及加速化は、電動化社会への変革を促進し、自動車産業を含む多くの産業の再興を図るものである。また、CO2削減に向けての中長期的対策及び大気汚染対策や騒音対策にも有効である。
 そこで、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の普及を促進するため、家庭における「低電圧充電設備」や、スタンド等の公共施設における「急速充電設備等」のインフラ整備の加速化と助成措置の新設・拡充を推進すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 レアメタルの確保と再生利用システムの整備について

 電気自動車には、多くのレアメタルが欠かせない。電気自動車の「心臓部」であるリチウムイオン電池にはリチウムだけでなく、ニッケル、コバルト、マンガンが不可欠である。レアメタルの一種であるレアアース(希土類)のネオジムとディスプロシウムがなければ、モーターの磁石の磁性や耐熱性を高めることができないと言われている。レアメタルはロシアや中国、南米、アフリカなどに偏在しており、日本にとって将来の安定的な資源獲得には不安がある。
 また国富流出のことを考える必要がある。昨年二〇〇八年の日本は、世界的に急激な原油高の中で我が国民が汗水を流して働いて稼いだ国富が、数十兆円もの規模で国外に流出したと言われている。レアメタル資源が希少・皆無である我が国は、資源国の資源価格攻勢に翻弄され易く、いくら労働しても国民生活が不安定になりかねない。そこで中国、南アメリカなどとの資源外交についても中長期的戦略が必要である。と同時に、周りを海洋に囲まれている日本は、海水に含まれている鉱物資源を取り出す「海洋資源抽出工学」を発展させ、安定性を確保する技術開発を行うこと、これに関しては国連海洋法条約にかかる部分もあり、イニシャティブの発揮が必要であること、また都市鉱山と同様に電気自動車の廃棄電池の国内循環資源として効率的な再生利用システムの整備を図るべきであること、などが考えられるが、以上の諸項目に関する政府の見解を示されたい。

五 革新的電池技術の開発・研究の加速化について

 電気自動車の低価格化や再生可能エネルギーの蓄電による電力安定化(スマートグリッド)を促進するためには、「低価格高性能電池」の開発が肝要である。リチウムに代わる安価な原料による革新的電池技術の開発は我が国にとって喫緊の課題であり、国際競争力の上で確固たる地位を占めるためには、その開発・研究を加速化すること、すなわち、「選択と集中」による助成措置の重点化と大幅な拡充を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。