質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三三号

内水面漁業の活性化とカワウ被害対策の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月十六日

加藤 修一   


       参議院議長 江田 五月 殿



   内水面漁業の活性化とカワウ被害対策の推進に関する質問主意書

 生物多様性国家戦略で問題視されている通り、外来生物等による生態系の撹乱は、深刻な問題となっている。
 日本の豊かな水流を生かす内水面漁業においても、殊にその影響を受け続けており、鯉や鮒、鮎・オイカワ・ウグイなど、天然・養殖問わず長年、大きな被害を蒙っているのがカワウによる被害である。全国内水面漁業協同組合連合会の推計では、全国の淡水魚の被害総額は約七十三億円(二〇〇五年実績)にもなり事態は深刻である。
 日本の食文化・観光の観点からも、淡水魚は非常に重要なものであり、日本文化を支えるものにつながるものである。環境省及び農林水産省は関係省庁と連携して、より一層効果的、加速的に取り組むべきである。
 そこで、以下質問する。

一 カワウ駆除対策について

 カワウは戦後、人的な環境悪化によって、その数を著しく減少させたが、一九七〇年代以降、公害規制による河川浄化が進むにつれ、生息数を急増させている。その被害は養殖場での被害も含め、甚大である。カワウの生息域に繁殖時に見られるコロニーでは、生木の枝を折り取ることによる樹木の枯死が広範囲にわたって起こり、また、多量の糞尿により水質・土壌汚染、悪臭、景観の悪化等も招いている。カワウ駆除の明確な目標設定とモデル地域での調査研究の加速的推進策について、政府の見解を示されたい。

二 漁業組合等によるカワウ対策に対する優遇措置の拡充について

 カワウ対策については現在も環境省主導により、関東カワウ広域協議会を立ち上げ、各地域の漁協の協力も得て、ロケット花火・かかし・銃器捕獲・テグス張り等の対策を鮎の遡上に合わせ積極的に講じており、また、カワウを狩猟鳥にして駆除も行っているが、必ずしも効果が十分でなく現在に至っている。漁業組合等によるカワウ被害減少や予防策の加速的実施のための優遇措置の拡充について、政府の見解を示されたい。

三 カワウの生態調査など監視活動等への助成拡充について

 カワウ生息域の掌握や行動範囲の特定等、生息数の継続調査及び継続的なカワウの生息数管理のための処置の研究や監視活動等への助成措置の拡充について、政府の見解を示されたい。

四 カワウ対策の技術的研究開発の推進と普及に向けた助成措置について

 カワウの生態研究によるドライアイス散布法等のより低廉・効率的な技術開発の推進と広範な普及拡大への助成措置について、政府の見解を示されたい。

五 カワウ対策の市町村計画の策定について

 「鳥獣被害防止特別措置法」に基づく市町村の計画策定について、市町村に周知徹底することが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

六 淡水魚の保全対策と助成措置について

 河床の産卵環境の整備や竹細工等の利用による隠れ場の創出及び助成支援措置について、政府の見解を示されたい。

七 河川の汚染対策について

 河川周辺の土地利用等に起因する汚染対策と、健全な水循環の確保に関する施策について、政府の見解を示されたい。

八 第一〇回締約国会議に向けての我が国の取り組みについて

 二〇一〇年に開催される生物多様性条約の第一〇回締約国会議(COP一〇)に向け、内水面魚の保護、外的危機の影響を十分に検討し、その革新的な方策について研究・実施の積極的な取り組みの推進について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。