質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二〇号

妊婦への新型インフルエンザワクチン接種に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月九日

川田 龍平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   妊婦への新型インフルエンザワクチン接種に関する質問主意書

 政府は、二〇〇九年十月一日、新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種の基本方針を明らかにした。優先接種対象のなかでも最優先の医療従事者には既に十月十九日から新型インフルエンザのワクチン接種が始まっている。妊婦、基礎疾患を有する者、幼児へと国内産ワクチンの接種対象が順次拡大されることになる。
 接種対象者に順次必要なワクチンを供給できるようにするために、十ミリLバイアル、一ミリLバイアル、〇・五ミリLプレフィルドシリンジの三種類の国内産新型インフルエンザワクチン二七〇〇万人分程度を確保するとされている。この三種類のワクチンのうち、小瓶に注射液が充填されているバイアル製剤にはチメロサール等の保存剤が使用されている。このチメロサールはエチル水銀に由来する防腐剤であり、発達障害との関連性も指摘されている。厚生労働省の新型インフルエンザワクチンQ&Aでは、「一般的には接種によるベネフィットがリスクを上回ると考えられています。」と説明されている。
 しかし、妊婦が子どものリスクはできる限り軽減したいと考えるの当然のことである。先述のQ&Aでも「プレフィルドシリンジ製剤(あらかじめ注射器に注射液が充てんされている製剤)には保存剤の添加は行われておらず、保存剤の添加されていないワクチン接種を希望する妊婦は、プレフィルドシリンジ製剤が使用できることとしています。」とされている。
 以上のことを踏まえて、政府の基本方針に基づく、新型インフルエンザワクチンの妊婦への接種について、政府の見解を確認したい。
 以下、質問する。

一 政府は、ワクチン接種のスケジュールにおいて三種類の国内産ワクチンの生産計画を示している。総数では妊婦が接種するワクチンの数が確保されているが、それぞれの時期において、チメロサールを含まないプレフィルドシリンジ製剤ワクチンの接種を希望する妊婦に応えることが数量的に可能であるのか、どのように運用面で担保されているのか具体的な事例を示した上で、政府の見解を明らかにされたい。

二 基本方針において、接種の実施として、「受託医療機関は、国との委託契約に基づき、卸売業者からワクチンを購入し、優先接種順位に従い、優先接種対象者であることを確認のうえ、原則として予約制により接種を実施する。」とされている。また「市町村は、(中略)接種の機会を確保する。」とされて、各実施主体の役割が示されている。市町村が接種の機会を確保すると同時に、例えばプレフィルドシリンジ製剤は産婦人科に優先的に配分するように政策的な配慮が求められると考えるが、政策的な配慮の必要性の有無、また必要とするなら運用面での具体的な配慮措置について、政府の認識を明らかにされたい。

三 基本方針において、広報についての国、都道府県、市町村の役割を示しているが、妊婦に対して、エチル水銀に由来する保存剤の添加されていないワクチン接種を希望すれば、プレフィルドシリンジ製剤が使用できることを、例えば母子手帳の発行時や保有者への広報などで周知徹底することが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 受託医療機関のワクチン購入については、妊婦へのプレフィルドシリンジ製剤の優先的な接種への対応など、ワクチン接種に係る地域事情に配慮した計画的な体制が望まれていると考える。三種類の国内産ワクチンをできる限り地域事情に応じて供給しないと、政府が確保したワクチンをムダにすることにもなりかねない。国、都道府県、市町村と受託医療機関等が補完的に連携し、無駄なく配布する体制が望ましいと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。更に、無駄なくワクチンを供給する体制を運用面でどのように担保しているのか、具体的な事例を示した上で、政府の姿勢を明らかにされたい。

  右質問する。