質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一五号

日米地位協定の改定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月九日

浜田 昌良   


       参議院議長 江田 五月 殿



   日米地位協定の改定に関する質問主意書

 民主党、社会民主党及び国民新党の三党連立政権合意(平成二十一年九月九日付)において、「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起」することが規定されている。しかし、同年十月二十六日に鳩山総理が行った所信表明演説においては、その具体的提起のあり方が全く触れられなかった。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 日米地位協定に関しては、岡田外務大臣が本年九月十七日の記者会見において、米軍基地再編及びアフガニスタン支援問題を優先する旨の発言をしているが、これは鳩山内閣の方針と理解してよいか。そうであるならば、鳩山内閣としては、どのようなタイミングで日米地位協定の改定を提起する方針か。

二 そもそも、鳩山内閣として、どのような項目について日米地位協定の改定の提起をすることを考えているのか。平成二十年三月二十七日付けで、民主党、社会民主党及び国民新党が合意している「日米地位協定改定案についての合意」においては、①日本国の法令を尊重すること(第四条)、②八年ごとを目途に使用計画書を提出すること(第三条)、③演習及び訓練により生じた環境破壊についての原状回復を義務付けること(第五条及び第八条)、④施設又は区域外に居住する場合等においては外国人の登録に関する日本国の法令を適用すること(第十二条)、⑤裁判権を行使すべき被疑者の拘禁は原則として日本国の拘禁施設で行い、拘禁移転の要請がある場合にはこれに同意すること(第十九条)等が規定されているが、これらをそのまますべて提起すると考えて良いか。当面提起する項目として、当該合意から除外する項目及び追加する項目があればその内容及び理由を明らかにされたい。

三 二の①から⑤の項目について、NATO地位協定、ボン補足協定及び米韓地位協定ではどのように規定されているか。我が国の現状の規定に比べて受入国側に有利に規定しているものはどの協定のどの項目か。

四 我が国の自衛隊が海外に駐留するために、我が国はクウェート国及びジブチ共和国と地位協定を締結している。これらの協定において、二の①から⑤の項目についてどのように規定されているか。二に挙げた合意に比べて派遣国側に有利に規定されているものはどの協定のどの項目か。

五 容疑者の起訴前引渡しに関して、米国は取り調べの際に弁護士を同席させるという、いわゆる「ミランダルール」を要求している。鳩山内閣としてこのような要求を受け入れることとしているのか。そうであるならば、日本の司法制度全体としてこのようなルールの導入の可能性についてどのように考えているのか。

六 沖縄海兵隊のグアム移転に伴って嘉手納飛行場以南の基地返還が合意されていることに鑑み、返還された基地の土壌汚染についての原状回復について早期に明確にすることが求められている。日米地位協定の改定の提起を行うに当たっては、特にこの項目を優先させるべきと考えるがどうか。その際、土壌汚染の原状回復を米国側に義務付ける一方、いわゆる「思いやり予算」を当該原状回復に優先的に充当するという考え方について鳩山内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。