質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

魚礁設置事業に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十一月四日

紙 智子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   魚礁設置事業に関する質問主意書

 魚礁設置事業は、沿岸漁場整備開発事業の中心的事業の一つとして、国は、毎年、二〇〇億円を超える事業費を支出していた。しかし、この魚礁設置事業が多くの問題をもっていたことが、平成十年度の会計検査院の決算検査で明らかになり、平成十一年十一月に水産庁長官宛に改善の処置要求がなされた。また、平成十五年五月には、民主党の上田清司衆議院議員(当時)が同院決算行政監視委員会で魚礁の構造上の問題について質問をするなど、魚礁設置事業に関しては、依然として、解明改善されなければならない課題があると思われる。ついては、左記の通り質問をする。

一 平成十三年四月二十七日に会計検査院で行われた水産庁、会計検査院、民間企業の関係者による魚礁設置事業の構造計算についての検討会について、会計検査院及び水産庁それぞれの参加者の氏名及び当時の役職を明らかにされたい。

二 この検討会で、香川県と鹿児島県の魚礁の構造計算書の問題が取り上げられた。そこで明らかになったことは、魚礁の構造計算では、設計指針で、面着計算と稜着計算が義務づけられているにもかかわらず、香川県では、稜着計算をしないまま、水産庁もそれを認めて魚礁の補助申請を行っていたということである。また、鹿児島県の構造計算では、設計図面と実際の施行図面が異なったものになっているのをそのまま見過ごしていることが明らかになった。会計検査院は、この検討会以降、魚礁設置事業を行っている各都道府県の魚礁の構造計算についてどのような調査を行ったのか明らかにされたい。また、調査を行っていないのならその理由を明らかにされたい。

三 魚礁設置事業は、その魚礁の対価が魚礁の外接面によって囲まれた内容積である「空m3」によって支払われることになっており、「空m3」が大きければ大きいほど、すなわち巨大な魚礁ほど対価が大きいことになる。魚礁メーカーがその対価を求める傾向を強めれば、魚礁の設計指針の遵守は監督官庁及び都道府県が厳しい監視をしなければ困難になることは容易に想定できる。水産庁は、この魚礁の面着計算と稜着計算の両方とも設計指針に合致できるようにどのような点検体制をとっているのか。また、「空m3」が大きければ魚礁対価が大きくなる補助の仕組みを見直す考えはないのか。見直す考えがないとすればその理由は何か明らかにされたい。

四 魚礁設置事業については、その効果が十分果たされているのかが、極めて重要であるが、「魚礁効果は蝟集魚、海洋特性、造成規模、設置水深、魚礁単体の構造及び配置等により大きく変化するため、一概にどのような魚礁をどのように設置すべきかという評価は非常に難しいと言える。」とされるだけでなく、研究者によっては魚礁の効果はそれほどなく、無駄な事業であるとの指摘もある。この魚礁設置事業についての効用性について、費用対効果の側面も含めて、全面的に見直すべきと考えるが、見解を明らかにされたい。

  右質問する。