質問主意書

第173回国会(臨時会)

質問主意書


質問第八号

平成二十二年度予算編成方針に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年十月二十七日

草川 昭三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   平成二十二年度予算編成方針に関する質問主意書

 平成二十二年度予算概算要求は、九十五兆三百八十億円と空前の規模に膨らみ、財政規律への悪影響が懸念されているため、以下、政府の予算編成方針について質問する。

一 例年の予算編成作業では、概算要求基準(シーリング)を事前に定め、その枠内で予算要求を求めていた。今回の概算要求の拡大は、シーリングの撤廃も原因のひとつと考えられるが、政府の見解を示されたい。

二 平成二十二年度予算編成で、概算要求基準を設けなかった理由を示されたい。概算要求基準を設けないことの長所、短所について政府はどのように考えているか。

三 政府は最終的な予算規模をどのような段取り・方法で決定するのか、示されたい。

四 特に、菅国家戦略担当相は歳入に応じて歳出額を定めると発言しているが、歳入のうち、税収額、公債発行額、税外収入などは、それぞれ来年度予算編成段階では見積もりでしかなく、政府の裁量の余地が大きい。歳入に応じて歳出を定めるとしながらも、歳出に応じて歳入見積もりを恣意的に増加させる可能性があると考えられるが、どうか。

五 公債発行額に関しては、国家戦略担当相や古川元久内閣府副大臣が「市場が容認できるレベルの発行額」という言い方をしているが、こうした基準はどのように定めるのか。また、日本の公債発行額は先進諸国でも例がないほどの巨額な規模になっているが「市場が容認できるレベル」は過去の経験則や他国の例で参考にできるものがあるのか。

六 こうした公債発行額の許容量に関して、学説等はあるのか。政府が年末までに公債発行額を定める際に参考にする学説等はあるのか。

七 藤井財務相は、平成二十二年度予算の新規国債発行額を四十四兆円以下に抑制したいと明言している。四十四兆円は平成二十一年度本予算と補正予算を合わせた水準だが、その額を平成二十二年度当初予算の発行額と比べるのは比較の基準があわないと思うが、如何か。また、なぜ当初予算ベースではない比較を財務相があえて表明するのか、その理由を示されたい。

八 本来、比較対象とすべき平成二十一年度当初予算の新規国債発行予定額は三十三・三兆円であり、当初予算ベースで発行額を比較した場合、明らかに財政規律が悪化したといえるのではないか、政府の見解を明示されたい。

九 平成二十二年度予算の総額に関して、仙谷行政刷新担当相は「九十二兆円以下」、首相や財務相は九十二兆円を下回る規模、と公言している。首相や各閣僚が公言する九十二兆円という数字の根拠は何か。

十 財政政策の根幹にかかわる情報は、日本政府の財政規律に関する基本方針とも受け止められる。特に概算要求基準など財政規律にかかわる政府の目標がまったくないなかでは非常に重い価値を持つ。平成二十一年度当初予算の八十八兆五千億円を大幅に上回る水準を公言することで、財政規律への不安が高まる可能性もある。鳩山内閣は九十二兆円という数字を公言することで公債市場や国民にどのようなメッセージを伝えたいつもりなのか、その意図を示されたい。

  右質問する。