質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一七号

内閣参質一七一第二一七号
  平成二十一年七月三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員長浜博行君提出一時凍結していた直轄国道十八事業の事業再開に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員長浜博行君提出一時凍結していた直轄国道十八事業の事業再開に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「直轄国道十八事業」(以下「十八事業」という。)については、平成二十一年二月四日及び同月二十五日の衆議院予算委員会における国土交通大臣の答弁のとおり、平成二十一年度予算に計上された事業の執行を一時的に見合わせるとともに、「国土交通省所管公共事業の再評価実施要領」(平成二十一年六月一日付け国官総第四十三号及び国官技第三十六号国土交通事務次官通達)(以下「再評価実施要領」という。)に基づき再評価を実施し、各事業の継続又は中止に関する方針(以下「対応方針」という。)を決定することとしたものであり、現在、再評価の手続を進めているところであって、「政策変更」との御指摘は当たらないものと考えている。

二について

 十八事業の再評価については、国土交通省の地方整備局長等が設置した事業評価監視委員会(以下「委員会」という。)において対応方針について審議いただくとともに、事業全体及び残事業に関して、走行時間短縮便益、走行経費減少便益及び交通事故減少便益の合計(以下「三便益」という。)並びに地域の実情等を踏まえた三便益以外の多様な便益を考慮した上で、便益が費用を上回るかどうかを総合的に判断して、対応方針を決定することとしており、御指摘の「冬柴鐵三元国土交通大臣の答弁」の趣旨に沿うものであると考えている。

三について

 十八事業の再評価においては、道路整備の多様な便益のうち、現時点における知見により十分な精度での計測及び金銭による表現が可能な三便益を用いて費用便益比を算出するとともに、三便益以外の多様な便益をできる限り具体的に把握して示すことにより、道路整備の便益を総合的に評価することとしており、御指摘のように「総合的評価の結果を数値化して便益の中に含めて計算」することとはしていない。また、委員会において対応方針について審議いただくとともに、地方公共団体の長の意見を聴取することにより、客観性を担保している。

四について

 十八事業の再評価においては、委員会で対応方針について審議いただくとともに、三便益及び三便益以外の多様な便益を考慮した上で、便益が費用を上回るかどうかを総合的に判断して、対応方針を決定することとしているが、お尋ねの「コスト縮減等の見直しを踏まえて再計算された各事業別のBバイCの値」、「十八事業全体及び各事業別のコスト縮減額」、「各事業別の具体的なコスト縮減方法」、「各事業別の具体的な評価内容」及び「建設再開が見送られた事業があれば、その事業名とその理由」については、現時点では確定しておらず、お答えできない。

五について

 委員会の委員の人選については、再評価実施要領に基づき、国土交通省の地方整備局長等において適切に行っているところである。また、審議は委員会が定める方法に基づき適切に行われていると認識している。委員会の議事録等については、地方整備局等のホームページで公表することとしている。

六について

 お尋ねの「立法府の意思をないがしろにするもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、十八事業の再評価に当たっては、地方公共団体の長の意見の聴取等を行うとともに、できる限り具体的に把握した地域の実情等を踏まえた三便益以外の便益等を示した上で、委員会において対応方針について審議いただいており、地域の実情をより反映した効率的かつ効果的で透明性が確保された道路整備のための取組を行っているものと考えている。