質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二〇七号

内閣参質一七一第二〇七号
  平成二十一年六月二十二日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員紙智子君提出サンルダム建設に係るサクラマス保全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出サンルダム建設に係るサクラマス保全に関する質問に対する答弁書

一の1の(1)及び(2)について

 「天塩川における魚類等の生息環境保全に関する中間取りまとめ(平成二十年度年次報告書)」(以下「中間取りまとめ」という。)は、サンルダムの魚道の整備方式の検討等において、二風谷ダムの魚道で行われた「調査結果をそのままサンルダムに適用するのは適切ではない」と記述しているものであり、御指摘のように「二風谷ダム魚道がサンルダムに適切でないと指摘」、「二風谷ダム魚道は沙流川におけるサクラマス保全にも適切でなく、サクラマスは二風谷ダム湖に陸封化したと評価」及び「北海道地方ダム等管理フォローアップ委員会の判断及びこれを受けた北海道開発局のダム魚道に関する評価とは相反する評価」をしているものとは考えていない。

一の1の(3)について

 二風谷ダムの魚道の効果の検証は、魚道がサクラマスの遡上及び降下の経路として機能することを確認する観点等から、魚道等においてサクラマス幼魚(スモルト)を捕獲し、その降下の状況を把握する調査等によって行うこととしたものであり、御指摘のように「二風谷ダム魚道にのみ特別の状況がある」ものではない。

一の2の(1)について

 中間取りまとめは、サンルダムの魚道の整備方式の検討等において、美利河ダムの魚道で行われた「調査結果をそのままサンルダムに適用するのは適切ではない」と記述しているものであり、御指摘のように「美利河ダム魚道がサンルダムに適切でない」と評価したものとは考えていない。

一の2の(2)について

 ダム湖への流入河川において産卵床やサクラマス幼魚が確認されていること等から、サクラマス親魚は御指摘の「減水区間」を遡上しているものと考えているが、「減水区間」におけるサクラマス親魚の遡上状況を含めた魚類の生息環境については、専門家の意見を踏まえつつ調査を継続する必要があると考えている。

一の2の(3)について

 美利河ダムの魚道及びサンルダムで予定している魚道については、バイパス方式による魚道を設けて遡上魚及び降下魚がダム湖に直接入らないようにしている点は共通しているが、魚道上流端の分水施設の規模及び分水施設における魚道とダム湖への水量の分配比等は異なっている。
 美利河ダムの魚道については、ダム湖への流入河川において産卵床やサクラマス幼魚が確認されていること等から、サクラマスの遡上及び降下の経路として機能しており、分水施設もその機能を発揮しているものと考えている。また、サンルダムの魚道の整備に当たっては、当該分水施設の基本的な構造等を参考とすることとしている。

二の1について

 御指摘の「天塩川流域委員会資料」の「三通りの図」及び「「中間取りまとめ」の図」は、いずれも暫定水位運用の概要を説明した図であり、矛盾するものではない。
 暫定水位運用の具体的な方法については、今後検討することとしている。

二の2及び3について

 サンルダムの魚道の効果の把握・検証方法については、天塩川魚類生息環境保全に関する専門家会議(以下「専門家会議」という。)の議論を踏まえつつ検討を行うこととしている。

三の1から3までについて

 平成二十五年度に予定しているサンルダムの完成に向けて、ダム建設工事と魚道整備工事を平行して実施し、魚道整備工事の進捗状況に応じて、分水施設の機能の確認等のための調査検討を行うこととしている。なお、第四回答弁書(平成二十年四月二十五日内閣参質一六九第一一〇号)三の2の(一)についてでお答えしたとおり、サクラマスの遡上及び降下の機能を確保するための恒久的対策の効果については、専門家会議の意見も踏まえて、暫定水位運用の期間に十分把握・検証することとしており、その結果、必要な場合は追加対策等を行うこととしている。

三の4について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「約八億円」は、階段式魚道及びバイパス方式による約九キロメートルの魚道の水路等に係る費用の合計額である。また、第五回答弁書(平成二十年七月一日内閣参質一六九第一七三号)三の3についてでお答えした「美利河ダムの魚道の工事に要した費用」の「約七億円」は、階段式魚道を含むバイパス方式による魚道の水路等に係る費用である。なお、二風谷ダムの魚道の工事に要した費用については、関係する資料が保存期間を経過しているため、お答えすることは困難である。