質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二〇三号

内閣参質一七一第二〇三号
  平成二十一年六月十九日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出合衆国軍隊構成員等の犯罪に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出合衆国軍隊構成員等の犯罪に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「法務省検察統計」において、「不起訴」として計上された「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」の各事案については、検察当局において、個別具体の事案に即して「起訴猶予」、「嫌疑不十分」、「第一次裁判権なし」、「第一次裁判権不行使」等を理由として不起訴処分を行っているものと承知している。これらの事案については、検察当局において、いずれも法と証拠に基づき、適切に処理しているものと考えている。

二及び三について

 御指摘の「法務省検察統計」において、「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」として計上された事件については、その内容のすべては把握しておらず、お尋ねの主な事故原因等についてお答えすることはできない。

四について

 略式命令を請求するか否かについては、個別具体の事案に即して判断する必要があり、一概にお答えすることはできないが、一般的に、検察官において、犯行態様、結果の重大性、被害者の心情等に配慮しつつ、個々の事案に即して罰金又は科料の求刑が相当であり、かつ、略式命令を請求することが相当であると判断した場合には、簡易裁判所に略式命令を請求しているものと承知しており、いずれの事件についても、法と証拠に基づき、適切に処理されているものと考えている。

五について

 御指摘の「法務省検察統計」における「略式命令請求」が行われた事件の罰金額の総額等については把握しておらず、お答えすることはできない。

六について

 罰金が完納されない場合は、検察官の指揮により、納付義務者に資力があるときは強制執行の手続に関する法令の規定に従い、納付義務者に資力がないときは納付義務者が刑事施設に附置された労役場に留置されることにより、いずれも罰金の裁判が執行されることとなる。

七について

 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の規定により、都道府県公安委員会は、その運転免許を受けた者又は同法第百七条の二に規定する国際運転免許証若しくは外国運転免許証を所持する者に対して、運転免許の取消し等の行政処分をすることができることとされているところ、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十条1に規定する運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証(以下「運転許可証等」という。)は、同法第百七条の二に規定する国際運転免許証又は外国運転免許証に該当せず、運転許可証等を所持する者は同法の規定による行政処分の対象とはされていない。

八について

 個別事件において提出された「公務証明書」の通数については、把握しておらず、お答えすることはできない。

九について

 お尋ねの「他検察庁に」として処理された件数には、他の検察庁の検察官に事件を送致した移送処分の件数を計上している。移送の理由は、例えば、被疑者の住居等を管轄する検察庁の検察官に移送する場合等がある。

十について

 沖縄県警察によると、沖縄県において、平成十三年から平成二十年までの間に検挙した合衆国軍隊の構成員又は軍属による道路交通法違反事件のうち、道路交通法第百二十六条第一項に規定するいわゆる交通反則切符により処理したものは、平成十三年は千二百六十五件、平成十四年は千四百七十五件、平成十五年は千六百十九件、平成十六年は千七百七十四件、平成十七年は千四百三十五件、平成十八年は千九十四件、平成十九年は千四百九十一件、平成二十年は千三百十六件であり、反則行為以外の道路交通法違反事件で用いられることが多いいわゆる交通切符により処理したものはないとのことである。また、これらの処理された事件について、納付された反則金の総額等は把握していないので、お答えすることはできない。

十一について

 お尋ねの「自動車等による業務上(重)過失致死傷」及び「道路交通法違反」ごとに賠償金及び見舞金を支給した件数等については把握していないが、防衛省が、平成十三年度から平成二十年度までの間において、合衆国軍隊の構成員又は被用者による交通事故の被害者に対し、日米地位協定第十八条5及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法(昭和二十七年法律第百二十一号)第一条の規定並びに「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」(昭和三十九年六月二十三日閣議決定)に基づき、賠償金及び見舞金を支給した件数及び金額を年度ごとにお示しすると、次のとおりである。
 平成十三年度 二百四十一件 約一億二千百万円
 平成十四年度 二百二十四件 約五千三百万円
 平成十五年度 二百三十三件 約一億四千百万円
 平成十六年度 百七十四件  約六千百万円
 平成十七年度 百八十七件  約一億円
 平成十八年度 二百十三件  約一億千九百万円
 平成十九年度 百五十二件  約四千百万円
 平成二十年度 百四十件   約三千九百万円