質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九〇号

内閣参質一七一第一九〇号
  平成二十一年六月九日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員加賀谷健君提出原爆症認定訴訟に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加賀谷健君提出原爆症認定訴訟に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十一年三月十二日の東京高等裁判所の判決については、個別の原告にかかわる事実認定の問題にとどまらず、がん以外の極めて広範囲の疾患について、科学的根拠を示さないまま低線量の放射線被曝により確率的に障害が起こり得るとし、これを基にして放射線起因性を事実上推定できるとしている点など、従来の原爆症認定に関する集団訴訟の裁判例と異なることから、上告受理申立てを行うこととしたものである。
 また、平成二十一年三月十八日の広島地方裁判所の判決については、科学的知見に反するものがあること、一部の疾病について従来の原爆症認定に関する集団訴訟の裁判例と異なった判断をしたこと、国家賠償については、従来のすべての原爆症認定に関する裁判例において請求が退けられていたにもかかわらず、一部の原告について請求を認めたこと等から、控訴を行うこととしたものである。

二について

 お尋ねについては、御指摘の厚生労働委員会及び申入れの時点では、対応について検討中であったところであり、その後、上訴することとなったものである。

三について

 御指摘の上告受理申立て及び控訴は一についてで述べた理由により行ったものであり、これらを取り下げることは考えていない。

四について

 がんについては、原子爆弾被爆者医療分科会(以下「分科会」という。)の「新しい審査の方針」において既に「積極的に認定する範囲」の対象疾病とされているところである。
 また、肝機能障害及び甲状腺機能低下症については、現在分科会において検討中であり、政府としては、その結論を待ちたいと考えている。