質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八二号

内閣参質一七一第一八二号
  平成二十一年六月五日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出同一価値労働同一報酬に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出同一価値労働同一報酬に関する再質問に対する答弁書

一について

 御指摘の調査によると、産業や企業規模の違いによっても初任給の違いがみられるところであり、男女間の初任給の違いについても、個々の企業の様々な状況を反映していると考えられる。

二について

 先の答弁書(平成二十一年三月三日内閣参質一七一第五八号)一についてでお答えした「指導等」には勧告も含まれている。
 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)に基づいて行った是正指導及び勧告の件数は、平成二十年度において、それぞれ一万三千五百七十八件、三十二件である。
 また、お尋ねの効果については、前年度から引き続いて指導を行った事案も含め、全体の九割以上について平成二十年度中に法違反の状態が是正されており、昇進等の機会の均等の確保について一定の効果を挙げているものと考えている。

三について

 お尋ねの「支援する施策」及び開始年次については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)に基づき、同法が施行された平成四年から、育児休業の規定整備に係る指導等を行うこと等により、育児休業の取得促進等を図っているところである。
 また、お尋ねの数値目標及び目標達成年次としては、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(平成十九年十二月十八日ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議決定)において、女性の育児休業取得率について、平成二十四年までに八十パーセントとする数値目標を設定しているところであるが、既に、平成十九年度において八十九・七パーセントと当該目標を超える数値となっており、職業生活と家庭生活との両立について一定の効果を挙げているものと考えている。

四について

 政府としては、平成十九年の国際労働機関(以下「ILO」という。)に対する政府報告において、「労働基準法第4条は、「使用者は労働者が女性であることを理由として賃金について差別的取扱いをしてはならない」と規定している。この条文は、単に「女性であることを理由とする」のみならず、女性の平均勤続年数が男性よりも短いこと、女性の多くは主たる家計の維持者ではないこと、といったような、女性のおかれた平均的な状況や先入観に基づいて差別的取扱いをすることも禁止しているものと解釈されている。第4条はこのような幅広い概念を含むものであるので、現行条文のままで100号条約の要請を満たしているものである。」と回答しているところであるが、このような労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第四条と、同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約(昭和四十二年条約第十五号)の関係について、ILOの条約勧告適用専門家委員会の理解が得られず、平成二十年二月に同委員会の意見が公表されたものと考えている。

五について

 平成二十一年九月を予定している。

六について

 お尋ねについては、企業等の職務評価の実例について情報提供を行うこととしており、このような支援は、性に中立的な客観的職務評価を採用しようとする企業に対しても参考になるものと考えている。

七について

 お尋ねのようなガイドライン等は存在しない。

八について

 お尋ねの事例収集の方法及び活用方策については、企業等において行われている賃金制度等に関して、ヒアリング等により事例を収集しており、今後、これを取りまとめの上、企業等に対して情報提供してまいりたいと考えている。
 お尋ねの予算については、事例の収集に関する予算を区分して計上しておらず、お答えすることは困難である。