質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第九三号

内閣参質一七一第九三号
  平成二十一年四月七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員糸数慶子君提出産科医療補償制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出産科医療補償制度に関する質問に対する答弁書

一について

 産科医療補償制度の運営組織である財団法人日本医療機能評価機構(以下「機構」という。)によると、平成二十一年三月三十日現在、同制度には、分娩を取り扱う病院及び診療所の九十九・七パーセントに当たる二千八百五十六機関が加入しており、また、分娩を取り扱う助産所の九十六・三パーセントに当たる四百十一機関が加入している。

二について

 お尋ねについては、分娩に係る医療事故による脳性麻ひは一定の確率で不可避的に生じるものであり、保険の仕組みがなじむものであること及び患者等の救済や紛争の早期解決に資する制度として早急な立ち上げを図る必要があったことから、法律の制定等によって国が公的に行う補償制度を構築するのではなく、民間の損害保険会社を活用することとされたものである。

三について

 お尋ねについては、分娩に係る医療事故においては、過失の有無の判断が困難な場合が多く、裁判で争われる傾向にあるが、特に、脳性麻ひについては、その性質上、発生原因が不明な場合が多いことから、紛争が発生しやすく、かつ、長期化する傾向にあり、患者等の救済が速やかに行われない場合が多いため、まずは、分娩に係る医療事故により脳性麻ひとなった場合を補償の対象とすることとされたものである。
 産科医療補償制度については、補償対象の拡大を含め、その在り方について、運用状況等を踏まえ、制度開始から遅くとも五年後を目途に見直すこととされているが、当該見直しの際には、厚生労働省としても、同制度がより良いものとなるよう適切に対応してまいりたい。

四について

 医療事故が発生した場合の患者等の救済という産科医療補償制度の趣旨にかんがみ、「先天性の脳性麻ひ」の場合については、補償対象とされていないものである。

五について

 産科医療補償制度においては、看護及び介護の必要性が高く、家族等の経済的負担が大きい重症者について、特に救済を図るため、身体障害者等級一、二級相当の重度の脳性麻ひの場合が補償の対象とされているものである。

六について

 お尋ねについては、一定の出生体重や在胎週数未満の場合に、分娩に係る医療事故によるとは考えがたい未熟性による脳性麻ひの発生率が大きく上昇するという医学的知見に基づき、現行の基準が定められたものである。

七について

 機構においては、産科医療補償制度における年間の補償対象者を最大八百人前後と推計しているが、厚生労働省としては、制度運営に要する事務経費を勘案すると、大幅な剰余金は生じないものと考える。

八について

 三についてで述べたとおり、産科医療補償制度については、補償対象の拡大を含め、その在り方について、運用状況等を踏まえ、制度開始から遅くとも五年後を目途に見直すこととされており、必要に応じ、五年の経過を待つことなく見直しが行われることもあると考えるが、当該見直しの際には、厚生労働省としても、同制度がより良いものとなるよう適切に対応してまいりたい。