質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第六二号

内閣参質一七一第六二号
  平成二十一年三月三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員亀井亜紀子君提出中城湾港泡瀬地区埋立事業第一区域への土砂投入工事の着工に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員亀井亜紀子君提出中城湾港泡瀬地区埋立事業第一区域への土砂投入工事の着工に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の土地利用計画の見直しは、現在沖縄市において検討しているところであると承知しており、御指摘の法的手続は当該土地利用計画の見直しがなされた場合に必要に応じ適切に実施されるべきものであるため、中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業(以下「本件埋立事業」という。)における第一区域への浚渫土砂の投入工事の施行について、「見直し計画の策定を待つべき」とは考えていない。
 また、当該工事は公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)等に基づき適法に行っているものであり、当該工事の施行が御指摘のような「誘導」を行うものとは考えていない。

二及び三について

 御指摘の「那覇地裁判決」については、沖縄県及び沖縄市がこれを不服として控訴しており、いまだ確定したものではないと承知している。政府としては、お尋ねの諸点は現に係争中であるか又はそれに密接に関連する問題であるため、答弁を差し控えたい。

四について

 お尋ねの「埋立て工事とは異なる緊急避難措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「今回着工された工事」(以下「本件工事」という。)は、泡瀬地区埋立地の護岸が完成していない現状において、護岸内側の砂が台風による越波で流失するおそれがあること等から、安全上必要な護岸の補強等の工事を行っているものである。
 本件埋立事業については、沖縄県知事が作成した案に基づき内閣総理大臣が決定した沖縄振興計画に位置付けられていること等から、今後も引き続き沖縄県及び沖縄市の意向も踏まえながら、進めていく考えである。

五について

 当面行う安全上必要な護岸の補強等の工事については、平成二十一年度以降に約五億円の事業費が必要と考えている。平成二十一年度予算案における当該工事の事業費に係る国費の額は、沖縄県に係る港湾整備事業の予算額約二百十九億円の内数である。

六及び七について

 内閣府沖縄総合事務局においては、護岸が完成していない状態では護岸内側の砂が台風等による越波で流失するおそれがあることを護岸の設計時に想定し、これを防ぐため砂をシートで覆い、更に当該シートを安定させるため土砂で覆う工法を採用した。本件工事は当該工法に基づいて行っているものであり、現時点において工法を変更する必要はないと考えている。
 お尋ねの被害については、平成十八年七月十二日に台風四号が来襲した際、護岸内側に投入されていた浚渫土砂が越波により約七十立方メートル流失するとともに、護岸本体についても護岸を構成する石材の一部が流失した。

八について

 本件埋立事業については、沖縄県及び沖縄市から継続して実施するよう要望されていること等から、御指摘のように「護岸を早急に開削」することは、現時点において考えていない。また、本件工事は、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)等の法令上必要とされる手続を経て、公有水面埋立法第四十二条第一項に基づく都道府県知事の承認を受けて行っているものであり、お尋ねの「土砂投入工事後」における「区域内のサンゴその他生物への影響」については把握していないが、御指摘のような立入調査を要請することは予定していない。

九について

 本件埋立事業については、工事着手前の環境影響評価に基づき、水鳥の採餌場所である干潟域の埋立てをできる限り回避する措置を講ずるとともに、トカゲハゼの生息に配慮した工事や詳細な鳥類の監視調査等を行ってきており、「生物多様性基本法の趣旨」や「ラムサール条約の精神を踏みにじる行為」との御指摘は当たらないものと考えている。