質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第四四号

内閣参質一七一第四四号
  平成二十一年二月二十四日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 河村 建夫   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員外山斎君提出労働行政における労災認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員外山斎君提出労働行政における労災認定に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、御指摘の二つの場合には、御指摘のような写真が提出されたとしてもなお、改めて検査を行う必要性があることから、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)第四十七条の二の規定に基づく受診命令(以下「受診命令」という。)を発しているところである。

二について

 受診命令に基づく診断において、振動障害と類似の症状を呈することのある疾病(以下「類似疾病」という。)の有無を判断するに当たっては、振動障害について臨床経験を有し、かつ、所要の設備を有する医療機関の医師が類似疾病に応じて適切と認める検査を実施し、その知見に基づいて評価を行っているところである。

三について

 受診命令に基づく検査は、労災保険法による保険給付(以下「労災保険給付」という。)を受けようとする者等が過去に主治医の治療を受けたか否かにかかわらず、労災保険給付に関する医学的判断資料を得ることを目的として行われるものである。
 また、労働基準監督署長は、労災医員規程(平成十三年厚生労働省訓第三十六号)第二条に規定する地方労災医員が御指摘の二つの診断結果について時間的経過を考慮して述べた意見を踏まえて、労災保険給付の支給決定等を行っているところである。

四及び五について

 御指摘の「通達の検査を否定し、医師と患者の関係、自覚症状も否定する記載」の意味するところが明らかでなく、また、御指摘のような実態があるとも認識していないが、振動障害に関する労災保険給付の支給決定等については、今後とも御指摘の通達及び事務連絡にのっとり、適正に対処してまいりたい。

六について

 受診命令に基づく診断結果と主治医の診断結果との間に齟齬がある場合には、都道府県労働局長を通じて労働基準監督署長に対し、必要に応じて改めて主治医の意見を徴するよう指示しているところである。

七について

 御指摘の研究会における検討内容の詳細について承知していないため、お尋ねにお答えすることは困難である。
 なお、御指摘の「FSBP%」検査(指動脈血圧検査)については、振動障害の主たる症状である手指の血流が阻害されている程度を他覚的に知ることができる検査方法の一つとして一定の評価が得られているところであるが、あくまでも参考検査の一つにすぎないものであり、受診命令に基づく診断においては、個々の事案に照らした総合的な判断がされるべきものと考えている。

八について

 類似疾病の取扱いについては、都道府県労働局長を通じて労働基準監督署長に対し、今後とも御指摘の通達及び事務連絡にのっとり、適正に対処するよう指示してまいりたい。

九について

 受診命令に基づく診断の結果については、本人が行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)に基づいて開示を受け、自らの意思に基づいて主治医に報告することが適当であると考えている。