質問主意書

第171回国会(常会)

答弁書


答弁書第二五号

内閣参質一七一第二五号
  平成二十一年二月十三日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員大久保勉君提出政府及び日本銀行による金融市場の安定確保と企業金融の円滑化のための対策と再就職規制等との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員大久保勉君提出政府及び日本銀行による金融市場の安定確保と企業金融の円滑化のための対策と再就職規制等との関係に関する質問に対する答弁書

一について

 国家公務員の離職後の再就職については、退職管理の適正化を図るとともに、公務の公正性を確保する観点から、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)及び国家公務員法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第百八号)附則により、求職活動や営利企業への再就職等に関する規制がなされている。
 金融機能の強化のための特別措置に関する法律(平成十六年法律第百二十八号。以下「金融機能強化法」という。)に基づく資本増強又は今国会に提出した我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(以下「産業活力再生特別措置法等改正案」という。)を活用しての資本増強を行った企業へ再就職する場合にあっても、個別具体の事例に応じて法令にのっとり適正に判断されることとなる。
 なお、お尋ねの「政府が行っている公務員改革」の趣旨が必ずしも明らかでないが、いずれにせよ法令にのっとり適正に判断されることとなる。

二について

 お尋ねの「便宜供与」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十一条第一項において、会社等は、政党及び政治資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされている。また、同法第二十二条の三第二項において、国から直接資本金等の出資を受けている会社等は、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされているが、金融機能強化法に基づく資本増強は預金保険機構が、産業活力再生特別措置法等改正案を活用した資本増強は指定金融機関が、それぞれ出資して行う仕組みとなっており、これらの資本増強を行った企業が政治活動に関する寄附をすることについては、同項の規制を受けることはない。
 一方、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百九十九条において、国と請負関係その他特別の利益を伴う契約の当事者である者等は、国会議員の選挙に関する寄附をしてはならないこととされているが、これらの資本増強を行った企業が当該選挙に関する寄附をすることについては、こうした契約の当事者である者等でない限り、同条の規制を受けることはない。

三について

 日本銀行は、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第三十二条の規定に基づき定められた「服務に関する準則」(平成十年三月六日付け日本銀行政策委員会決定)の中で、日本銀行と当座預金取引を有する営利企業への同行役職員の再就職を一定期間自粛すること等を定めること等により、職務の公正性の確保を図っている。
 一方、コマーシャル・ペーパー等の買入れに関し、日本銀行は、平成二十一年一月二十二日に日本銀行政策委員会において、「企業金融に係る金融商品の買入れについて」及び「コマーシャル・ペーパー等買入基本要領」を定め、日本銀行による買入れの実施が個別企業への恣意的な資金配分となることを回避する仕組みを設けている。
 日本銀行は、買入れの対象となるコマーシャル・ペーパー等を発行する企業との間での役職員の再就職に関しては、このような枠組みの下で適正に対応するものと考えている。