質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二四七号

生活保護費の遡及支給に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年七月十六日

仁比 聡平   


       参議院議長 江田 五月 殿



   生活保護費の遡及支給に関する質問主意書

 厚生労働省は、生活保護手帳別冊問答集問十三-二において、「最低生活費の遡及変更は二か月程度(発見月及びその前月分まで)と考えるべきであろう」との技術的助言を示している。
 しかし、福祉事務所職員の過失により生活保護費が過大に支払われた場合は、生活保護受給者は生活保護法第六十三条により原則として全額を返還しなければならないのに対し、過小に支払われた場合は、福祉事務所側に非がある場合でも前々月以前の分は支給されないのでは、福祉事務所により生活保護受給権が不当に侵害され、憲法で保障された健康で文化的な最低限度の生活以下の生活を強いられたにもかかわらず、その損害が回復されないという著しく不公正な結果となる。
 現に、二〇〇六年十一月十日の朝日新聞山口県版朝刊および中国新聞朝刊で報じられた山口県下関市の事例のように、職員の過失による生活保護費の過誤払が発覚したにもかかわらず、過払い分は全額の返還を求めるが不払い分については支払わないという対応を行う自治体が少なくない。
 この点につき、別冊問答集の一九八二年版までにはあった「なお、この取扱いは、実施機関側の錯誤による最低生活費の過小が明らかとなった場合についても同様である。」との記述が、八八年版からは削除されているが、この「なお書き」を削除したということは、厚生労働省としては、本来支払われるべき生活保護費が支払われなかったことにつき福祉事務所側に非がある場合には、前々月以前の分も遡及して追加支給することができるとの見解に立っていると考えてよいか。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。