質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二二九号

障がい者団体向け郵便割引制度悪用にからむ第三種郵便物制度に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年七月八日

谷 博之   


       参議院議長 江田 五月  殿



   障がい者団体向け郵便割引制度悪用にからむ第三種郵便物制度に関する再質問主意書

 私は、障がい者団体向け郵便割引制度悪用にからむ第三種郵便物制度に関する質問主意書(第一七一回国会質問第二一一号)に対する答弁書(内閣参質一七一第二一一号。以下「前回答弁書」という。)を受領したが、各省の広報誌など、編集協力等の主体として府省名が記載されている刊行物(以下「政府刊行物」という。)が第三種郵便物の認可を受けている実態についてなお疑義が残るので、障がい者団体向け郵便割引制度の維持発展を求める立場から、以下再質問する。

一 郵便法第二十二条にある「あまねく発売されるものであること」という文言について、内国郵便約款第百六十二条が、発行部数に占める発売部数の割合が八割以上でなければならないと解釈する根拠を明らかにされたい。なぜ七割ではいけないのか。

二 私は、制度創設当初から大きく変化した我が国の郵便情勢、現在の出版広報事情に照らして、内国郵便約款が定める有料発売八割という条件は、もはや時代遅れだと考える。しかし、あえて有料発売八割という条件を厳格に適用しなければならないという立場に立つならば、前回答弁書の「二について」によると、内閣府の「学術の動向」と、経済産業省の「商業販売統計月報」及び「いっとじゅっけん」は、有料発売部数の割合が八割以下であるが、なお第三種郵便物の認可を受けていることについて、政府の見解を示されたい。

三 外務省は、かつて広報誌として編集協力していた「外交フォーラム」という冊子を、現在では発行元から毎号約九千部購入し、国会議員等に第三種郵便物制度を利用して無料で頒布しているとのことである。この九千部を差し引いても有料発売部数の割合は八割以上あるのか。私の事務所からの問い合わせに対し、外務省の国内広報課は当該冊子は第三種郵便物制度を適正に利用していると回答しているが、政府の見解を明らかにされたい。

四 前回答弁書の「二について」において、「行政&情報システム」という政府刊行物は二千三百六十六部が有料で発売されているとの回答があった。その後当方で調査したところ、そのうち千七百四十部は総務省が発行元から一括購入して第三者に無料で頒布しているようであるが、これは事実か。事実とすれば、郵便法を所管する総務省自身が、第三種郵便物制度を適正に利用しているとはいえないのではないか。

五 前回答弁書の「一について」にある政府刊行物について、関係政府機関が発行元より一括購入後、第三者へ無料で頒布している部数はそれぞれ何部か。

六 前記五で回答があった部数を差し引くと、有料発売部数が八割未満となる政府刊行物は相当数に上るのではないかと思われるが、該当するものをすべて挙げられたい。

七 郵便事業株式会社によると、「団体・個人等が一括購入後、第三者へ無料で頒布している場合はあまねく発売されていることにはならない」とのことである。ならば、前記六で回答があった政府刊行物はすべて第三種郵便物制度を不適正に利用していることになるのではないか。

八 すでに明らかなように、政府でさえ守れない有料発売八割という時代遅れの条件を、厳格に障がい者団体に求めることは公平性に欠ける。政府刊行物の不正を放置する一方で、一部の郵便局において行き過ぎた指導が障がい者団体に行われている実態について、七月二日に郵便事業株式会社から報告を受けたが、心身障がい者の福祉の向上を目的とした社会政策上重要な制度の運用として不適切であり、この実態は早急に改善されるべきではないか。

九 前回答弁書の「三について」にあるように、心身障害者用低料第三種郵便物制度は心身障がい者の福祉の向上を目的とした、社会政策上重要な制度である。郵政民営化時に当事者団体が必死に守り抜いた制度であり、障がい者にとって不可欠な、情報のパイプラインである。事務処理能力や財政面で余裕がない障がい者団体に、有料発売八割という条件を厳格に求めることは、福祉向上の趣旨を阻害することになりかねないという認識を政府は有していないのか。

十 一部不心得者による心身障害者用低料第三種郵便物制度の悪用を防ぐ方策について、有料発売八割という条件の厳格適用以外の有効な方策を検討することに知恵を絞るべきではないか。

十一 どうしても有料発売八割という条件を厳格に適用することでしか、一部不心得者による悪用を防ぐことができないのであれば、例えば、障がい者団体同士の機関誌交換を有料発売部数の内数として認めることや、同じく低料第三種郵便物の認可を受けている新聞社や雑誌社が、最終購読者から実際に代金が入金されたことを示す会計書類を求められず、社団法人日本ABC協会の公表部数によって有料発売部数八割を確認しているように、煩雑な認可審査を小規模な障がい者団体に押しつけないで済むような方策を、弾力的に検討すべきではないか。

  右質問する。