質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第二二一号

法科大学院の評価及び見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月二十九日

藤末 健三   


       参議院議長 江田 五月 殿



   法科大学院の評価及び見直しに関する質問主意書

 平成十六年度から「法科大学院」が始まったが、現状において数多くの課題があると考える。
 法科大学院は現在七十四校がある。しかしながら志願倍率は当初に比べ落ちており、また、入学者が募集定員を下回っている。
 政府は、法科大学院修了者の七、八割が司法試験に合格すると想定していたようであるが、文部科学省が法科大学院の設置基準で二年コースの設置を認める、教員の三分の一については法学部との二重登録を認める、フルタイムの教官でなくとも専任として認めるなどの基準緩和措置を行ったことにより、想定以上に法科大学院が設置されたといわれている。このため法科大学院を修了しても司法試験に合格できない者のほうが圧倒的に多くなっている。また、法科大学院によっては司法試験合格者がいないところもあるような状況になっている。このような状況を踏まえ、以下質問する。

一 今まで法科大学院に対して使った私学助成金などの税金の総額はいくらか。そのうち司法試験合格者を出せなかった法科大学院にいくらの助成を行ったか。総額を示されたい。また、法科大学院への私学助成金の分配を見直すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 法曹制度、法科大学院の見直しに当たっては、社会ニーズをきちんと把握すべきではないか。中央教育審議会では学術界や法曹界の人々が多数を占めており、法科大学院の顧客である学生の意見を吸い上げる体制になく、実際に今まで法科大学院で学び、または学んだ学生の意見を吸い上げて公式な資料として整理したこともないのではないか。特に法科大学院を修了し、司法試験をあきらめた学生の意見を聴取すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 法科大学院側では、平成十八年末にはすでに入学者定員と新司法試験合格者のギャップが明らかとなったにもかかわらず、自主的に定員削減を行う努力をしなかった。昨年秋から文部科学省と法務省の行政指導が行われ、次第に定員削減を決定する法科大学院が増えているが、定員削減の総数は合格率七割、八割を近未来に実現するには程遠いレベルにとどまっているし、多数の不合格者を出しているにもかかわらず、予定なし・検討中と答えているものもある。定員削減を確実に実現し、将来にわたって定員を適正水準に維持する方策を考えるべきではないか。

四 法科大学院の認証評価機関は三つあるが、現状を踏まえて認証評価基準自体の見直しを行うことを要求すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 平成二十三年度から予備試験が予定されている。しかし、百単位近い総合的な学習をしなければならない法科大学院生に比べ九科目に合格すれば受験資格が得られる予備試験とでは著しく不均衡が生じると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。