質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一九八号

外国人の生活保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年六月五日

加賀谷 健   


       参議院議長 江田 五月 殿



   外国人の生活保護に関する質問主意書

 生活保護を受ける被保護世帯数が急増していると聞いている。厚生労働省統計情報部「社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)」によれば平成十九年度の被保護世帯数は百十万五千二百七十五世帯で、昨秋以来の景気や雇用状況の急激な悪化に伴い、さらに増えて百五十万世帯に近づきつつあるとも言われている。こうした中で、日本に在留する外国人の被保護世帯も急増しており、前述報告によれば平成十九年度で三十七万三千百一世帯となっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 直近のわが国の生活保護被保護世帯数ならびに、このうち外国人の被保護世帯数を示されたい。

二 厚生労働省社会・援護局「生活保護の現状と課題」には、外国人被保護世帯についての課題は取り上げられていないと思うが、なぜか。政府として、この問題についてどのような認識を持ち、課題があるとすればどのような対応をしているのか。

三 平成十九年度の外国人被保護世帯三十七万三千百一世帯のうち、オーバーステイなど不法滞在者を世帯主あるいは配偶者とする世帯は何世帯か。さらにこのうち仮放免中の被保護世帯は何世帯か。それぞれ、直近の数字を示されたい。また、掌握していないとすれば、調査をする考えはあるか。

四 「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」(昭和二十九年五月八日、社発第三八二号、厚生省社会局長通知)は現在も有効か。

五 生活保護は法定受託事務として都道府県知事および市長、福祉事務所を管理する町村長が実施し、このうち外国人に対し行われている生活保護は人道的見地から自治事務として行われると承知している。不法残留者に対しても生活保護を実施している自治体数について政府はどのように把握しているのか。統計がない場合、概ねの割合を示されたい。

六 政府が現在国会に提出している住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立した場合、これらの正規の滞在許可を得ている外国人と、不法残留者、仮放免中の外国人に対する生活保護の取り扱いはどう変わるのか、変わらないのか。

七 住民基本台帳法の一部を改正する法律案が成立した場合、前述の社会局長通知は「外国人登録証明書の呈示」など内容を修正すべき点が出てくると思慮するが、これに合わせ、通知内容を大幅に改める考えはあるのか。

八 生活保護法第六条第二項の「この法律において「要保護者」とは、現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者をいう。」の「保護を必要とする状態にある者」に外国人、ならびに不法残留外国人は含まれるのか。含まれるとすれば、同法第十九条第六項の「福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。」により、前述町村長は急迫した事由により放置できない不法残留外国人に対し、保護を受けさせることはできないのか。

九 そもそも前述通知で「外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱に準じて左の手続により必要と認める保護を行うこと。」としながら、なぜ人道的見地からの対応に、適法か不法かを区別する必要があるのか。

  右質問する。