質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一五一号

日系人離職者に対する帰国支援金等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月三十日

松野 信夫   


       参議院議長 江田 五月 殿



   日系人離職者に対する帰国支援金等に関する質問主意書

 政府は、我が国に適法な在留資格で入国・在留し、就労していたものの離職した日系人に対する帰国支援事業を本年四月より実施している。これは、厳しい再就職環境の下、我が国での再就職を断念して帰国する者のうち、同様の身分に基づく在留資格による再度の入国を行わないことを条件に、日系人離職者本人一人当たり三十万円、扶養家族については一人当たり二十万円等を支給するというものであるが、いわば日系人離職者に対して苦渋の選択を迫る制度であり、極めて問題が多い。
 そこで、以下のとおり質問をする。

一 帰国支援金を受給するためには同様の身分に基づく在留資格で再度の入国をしないことを約束することとされているが、「同様の身分に基づく在留資格」とは、出入国管理及び難民認定法に定める「定住者」「永住者」「日本人の配偶者等」を指すのか、具体的に示されたい。また、なぜ、同様の身分に基づく在留資格による再度の入国をしない約束を取り付ける必要があるのか、明らかにされたい。

二 帰国支援金を受領した者は、「当分の間、同様の身分に基づく在留資格による再入国を認めない」とされているが、当分の間とは具体的にどの程度の期間であるか、明らかにされたい。

三 これまでの法務行政における再入国申請は、再入国申請者が我が国の法律に違反したり著しく国益に反するような行為を行った場合等、特段の事由がない限り許可されていた。今回の日系人離職者は、こうした特段の違反ないし違法行為をしたわけでもなく、日系人離職者には責められるべき事由もないが、帰国支援金を受領したことのみを理由として再入国を認めない処分をすることになるのか。そうであれば、再入国にかかる法務大臣の裁量権を逸脱ないしは侵害するものではないか。政府の見解を求める。

四 日系人離職者においては、法定の上陸拒否事由には該当しなくても帰国支援金を受領したことによる理由のみで再入国が認められないことになると、出入国管理及び難民認定法を一時的な雇用政策で変更することになり、法律による行政という法治主義の原則に反することになるのではないか。政府の見解を求める。

五 政府は、再入国申請者に対して、許可するか否かは法務大臣の自由な裁量に委ねられているという解釈か、それとも上陸拒否事由に該当しない限り入国を許可するという覊束裁量という解釈か、明らかにされたい。

  右質問する。