質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一三三号

任期満了直前の不祥事に基づく裁判官弾劾手続きに関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月十五日

前川 清成   


       参議院議長 江田 五月 殿



   任期満了直前の不祥事に基づく裁判官弾劾手続きに関する再質問主意書

 小職が平成二十一年四月二日付けの質問主意書(質問第一〇九号)においても指摘した通り、一木泰造判事が、本年二月八日、準強制わいせつ罪容疑で逮捕され、その後裁判官訴追委員会において調査が開始されたものの、同判事の任期が今月十日で満了するために、弾劾裁判を受けることはない。
 任期が満了した以上、裁判官としての身分を喪失するから、弾劾裁判によって裁判官としての身分を奪う必要はないことは承知している。
 しかし、現行法上、弾劾裁判による罷免は、裁判官としての身分を奪うだけに留まらない。よって、ただ任期満了によって裁判官の身分を喪失したときと、弾劾裁判によって罷免された場合では、法律家としてのその後の活動に大きく関わる。
 そこで、再度、次の通り質問する。

一 過去十年間において、次の裁判官数を年度毎に答弁されたい。

1 十年間の任期が満了した裁判官の数
2 1のうち再任された裁判官の数
3 再任されなかった理由及び理由毎の件数

二 一木泰造判事は再任されたか。
 再任されていない場合、その理由を明らかにされたい。

三 何故弁護士法七条二号は弾劾裁判所の罷免判決を弁護士の欠格事由と定めたか。

四 一木泰造判事は弁護士登録を請求しているか。

五 何故検察庁法二十条二号は弾劾裁判所の罷免判決を検察官の欠格事由と定めたか。

六 一木泰造判事は検察官任官を希望しているか。

七 一木泰造判事の任期が本年四月までではなく、来年四月までであれば、裁判官訴追委員会から訴追を受け、その後、弾劾裁判所による罷免判決によって、裁判官としての身分を失うとともに、弁護士、検察官としての資格も喪失していたはずである。
 ところが、一木泰造判事については、偶々任期が本年四月までであったために、訴追を受けることもなく、よって、弾劾裁判を受けることも、弁護士、検察官としての資格を失うこともなかった。
 このように不祥事を起こした時期が、偶々任期満了直前であったために、訴追を受けることもなく、よって、弾劾裁判を受けることも、弁護士、検察官としての資格を失うこともなかったとしても、現行制度に何ら欠陥はないと政府は認識しているのか。

八 任期満了によって裁判官の身分を喪失したとしても、それ以前に不祥事を起こし、裁判官訴追委員会の調査が開始されている場合は、裁判官訴追委員会においては引き続き法曹資格に関する審査を継続し、弾劾裁判所においては法曹資格に関する判断を下すことができる等、関係法令を改正するべきではないか。

  右質問する。