質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一二六号

インサイダー取引回避を理由とする使用者の事前労使協議の拒否に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月十三日

柳澤 光美   


       参議院議長 江田 五月 殿



   インサイダー取引回避を理由とする使用者の事前労使協議の拒否に関する質問主意書

 昨年からの米国発の金融危機に端を発した世界同時不況は、我が国経済にも深刻な影響を及ぼし、製造業をはじめとする国内産業は大きな打撃を受けている。倒産件数の急増、新規事業の延期・凍結、非正規労働者の雇い止めや新規採用の内定取り消しなどがいたるところで起き、雇用情勢のさらなる悪化も懸念される。
 このような我が国の危機的な状況下においては、経済の活性化、景気回復のために何にも増して雇用の安定が求められる。また、各企業においても当該労使が十分に協議を行い、労使の英知により難局を乗り切ることが重要である。
 しかしながら昨今、上場企業等において労働組合からの会社合理化策に係る事前労使協議の申し入れに対して、インサイダー取引規制に抵触するとの理由により、情報開示や労使協議を拒否する企業が増えていると聞く。
 このことが事実だとすれば、日本企業の強みでもある労使の協力関係にも影響を及ぼしかねない由々しき事態であると考える。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 労働組合からの事前協議の申し入れに対して、「インサイダー取引規制に抵触する恐れがある」ということを持ちだし、人員削減計画、事業場閉鎖など労働者に大きく影響を及ぼす重要案件においても、その必要性と改善効果を示す資料の提供はおろか、事前の労使協議を拒否する企業が増えていると感じるが、政府としてどのように把握しているか示されたい。

二 労働組合に対する情報(合理化を必要とする会社の財務状況を示す資料、合理化により改善が見込まれるとの財務資料を含む。)開示、事前協議の申し入れだけをもって、「金融商品取引法」に違反するとは到底考えられないが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。