質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第九三号

産科医療補償制度に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年三月三十日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   産科医療補償制度に関する質問主意書

 分娩機関と妊産婦との契約に基づいて、通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった者に補償金を支払う「産科医療補償制度」が、二〇〇九年一月一日から始まっている。この制度について、以下質問する。

一 分娩機関(病院・診療所、助産所)の産科医療補償制度への加入状況を明らかにされたい。

二 産科医療補償制度では、分娩機関は、補償金の支払いによる損害を担保するため、運営組織が契約者となる損害保険に加入する仕組みになっている。民間の保険会社を活用する制度設計とした理由は何か。国が公的に行う無過失補償制度とすべきではなかったのか。

三 補償対象が通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合に限定された理由はなぜか。脳性麻痺以外の障害にはどのように対応していくのか。

四 通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合のうち、先天性の脳性麻痺は補償対象外とした理由は何か。

五 通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合のうち、身体障害者等級一・二級相当以外の中軽度の脳性麻痺は補償対象外である理由は何か。

六 通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった場合のうち、出生体重が二千グラム未満の場合及び在胎週数三十三週未満の場合は補償外(ただし、在胎週数二十八週以上の者については個別審査により補償対象となる場合があるとされている。)である理由は何か。また、この二千グラム、三十三週、二十八週という基準の根拠は何か。

七 年間の分娩数が約百万件とすると、年間約三百億円の保険料収入となる。一方で補償対象者推計数は年間おおむね五百人から八百人とされており、年間補償金総額は八百人の場合でも約二百四十億円となる。多額の余剰金が発生すると考えられ、その使い道を明確にすべきであると考えるが、政府の認識は如何か。

八 五年を目途に制度の見直しを行うとされているが、前倒しして行うべきではないか。また、補償対象の拡大について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。