質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第五九号

男性の育児休業取得推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月二十三日

谷岡 郁子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   男性の育児休業取得推進に関する質問主意書

 これまでの日本社会では、「男は仕事、女は家庭」といういわゆる性別役割分業の風潮が強く、育児は女性の役割とされてきた。この傾向は育児休業取得でもみられる。一九九一年には男女とも職種を限定せずに労働者の育児休業取得を認める育児休業法(現在の育児・介護休業法)が成立し、また国家公務員についても同年成立した国家公務員の育児休業等に関する法律によって民間と同様に育児休業が保障されているが、しかし現状では育児休業は女性のみが取得する傾向にある。そして、このような傾向によって、使用者側が「女性は育児で休業する」ことを理由に、女性の賃金・待遇に差をつけていることも事実である。このような事例は、政府が提唱する男女共同参画社会に相反するものであると思われる。
 男女共同参画社会を実現し、男女とも平等な賃金・待遇の下で就労できる条件を整えるための施策のひとつとして、男性の育児休業の取得率を高めることで、育児負担を男女が平等に担うとともに、「育児は女性の仕事」というイメージを払拭し、育児を理由とした女性労働者に対する差別的待遇をなくすことが求められる。
 よって以下質問する。

一 少子化対策の一環として、政府は男性の育児休業取得を進めていると認識しているが、その目標値、目標年度と現在までの進捗状況を示されたい。

二 二〇〇八年七月一日に厚生労働省が発表した「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書」では、数値の年度は記されていないが、男性の育児休業取得率は〇・五〇%である一方で、取得希望率は三割にのぼると指摘している。そして、北欧のパパ・クォータ制を参照しつつ、「パパ・ママ育休プラス」など、男性の育児休業取得を促進させる方策が必要との認識を示している。政府は、この取得率と取得希望率のギャップを埋めるため、同報告書の発表以降、いかなる対応を行ったのかを示されたい。

三 パパ・クォータ制は特にスウェーデンやノルウェーなど北欧諸国において成果を上げている。それらの国では、パパ・クォータ制を利用した場合には男女ともに所得の八〇%が保障されるが、この休業中の所得保障の充実が制度の実効性に与える影響は大きいと考えられる。日本の現行制度では、育児休業中の所得保障は五〇%であるが、現在の日本の所得保障水準について、政府の見解を示されたい。また、所得保障水準と育児休業の取得率との関係性、すなわち休業中の所得保障が充実しているほど育児休業の取得率は高くなるという関係性について、政府の見解を示されたい。

四 現在、政府として、パパ・クォータ制やそれに類する制度の法制化を検討しているのか。また、法制化を検討している場合、その内容及び実効性をどのように想定しているのか、育児休業取得率の目標値と達成年度などと併せて示されたい。

五 政府が男性の育児休業取得を進めるならば、まずは男性公務員が率先して育児休業を取得すべきと考えるが、国家公務員全体と厚生労働省職員の男性の育児休業取得率を示されたい。また、政府として、国家公務員が育児休業取得率を高めるためにどのような取り組みを行っているのかについても示されたい。

  右質問する。