質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第四八号

第二次軍転特措法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年二月十七日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   第二次軍転特措法に関する質問主意書

 米軍再編で日米合意された沖縄の米海兵隊のグアム移転は、二〇〇九年度予算において日本側の経費負担が三百四十六億円計上され、その着実な実施に向け踏み出す一方、グアム移転に係る日米の新たな協定も締結される運びとなっている。しかし、政府は、米軍再編に伴い合意された嘉手納飛行場以南の米軍基地の返還に対しては、その返還が目前に迫っているにもかかわらず、返還基地が抱える有害物質等による土壌汚染や米軍が遺棄した不発弾、火薬類の調査、原状回復と地権者の補償等、返還基地対策において明らかに遅れをとり、その着実な実施が危ぶまれる。
 沖縄県の各自治体、特に米軍基地を抱える嘉手納町、北谷町、沖縄市、宜野湾市などの首長が参加した沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会が昨年七月に主催したシンポジウムでは、現行の「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」(以下、「軍転特措法」という)が二〇一二年三月三十一日をもって失効することから第二次の軍転特措法の制定を求めて、参加者決議が行われた。昨年十月には、この「責任ある返還対策を国・県に求める決議」(以下、「第二次軍転特措法決議」という)が首長らにより沖縄防衛局や外務省沖縄事務所に手交されている。
 同決議において最も重視されているのは米軍基地がもたらした有害物質による土壌汚染等の環境対策であり、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意で返還されたキャンプ桑江の跡地の浄化作業等が軍転特措法の給付金の交付期限三年と、沖縄振興特措法の特定跡地給付金の交付期間一年半を要しても終了せず、跡地利用が始まらない厳しい現状を指摘している。
 現行の軍転特措法は、駐留軍用地及び駐留軍用地跡地が広範かつ大規模に存在する沖縄県の特殊事情にかんがみ、駐留軍用地の返還に伴う特別の措置を講じ、もって沖縄県の均衡ある発展並びに住民の生活の安定及び福祉の向上に資することを目的としており、目前に迫った嘉手納飛行場以南の米軍基地の返還においても軍転特措法の趣旨を生かし、かつ拡充した早期の第二次軍転特措法の制定が求められる。よって以下、質問する。

一 第二次軍転特措法の制定に対する政府の見解を示されたい。

二 返還実施計画において、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律施行令第二条(返還実施計画に定める事項)第二号のイからニに掲げる事項について、国が調査を行っているのであれば、時系列で示し、それぞれ調査期間、調査内容、基地名(施設及び区域)、予算額を明らかにされたい。

三 現行の軍転特措法の第八条の給付金について年度ごとに返還基地名(施設及び区域)と、地権者等給付金の対象者人数、給付金の額を明らかにされたい。

四 第二次軍転特措法決議においては、政府に対し左記の三点を提起しているが、政府の見解を示されたい。

1 有害物質等による土壌汚染地域の特定を容易にするための基地使用履歴書情報の米軍からの情報提供
2 返還前の時点での米軍基地内土壌汚染調査、埋蔵文化財調査の日本政府による実施と米軍による受け入れ
3 返還基地の調査、原状回復期間をカバーするに足る給付金の日本政府による地権者への支給

  右質問する。