質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一七号

かんぽの宿等の売却に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月二十七日

川上 義博   


       参議院議長 江田 五月 殿



   かんぽの宿等の売却に関する質問主意書

 かんぽの宿は、簡易生命保険の加入者等の福祉を増進する施設として、全国に設置され、加入者を始め、広く国民に利用されてきた。郵政民営化後は、郵便貯金の周知宣伝施設とともに、日本郵政株式会社が経営に当たってきたところである。
 このかんぽの宿等七十施設について、日本郵政株式会社は、昨年十二月二十六日、オリックス株式会社のグループ企業であるオリックス不動産株式会社に、一括して売却することを決定した。しかし、この売却についてはさまざまな疑問がある。去る一月十三日の衆議院総務委員会において、鳩山邦夫総務大臣も疑念を表明し、売却のために必要な認可は行わない意向である旨発言している。
 今回の売却は、日本郵政株式会社の経営判断に基づくものである。しかし、現在のところ、日本郵政株式会社の全株式は政府が保有していること、日本郵政株式会社は民営・分社化された各事業会社の持株会社であり、本部機能を有することから、郵政民営化の動向に関して看過できないものを含んでいる。以上の点を踏まえ、次のとおり質問する。なお、日本郵政株式会社は総務大臣が監督するとされていることや、かんぽの宿等の売却の前提となる会社分割(新設分割)の効力発生には総務大臣の認可が必要とされていることにかんがみ、政府は承知しているところを誠実に答弁されたい。

一 今回日本郵政株式会社が全国の七十施設を一括で売却する理由は何か。
 また、売却方法について総務省は日本郵政株式会社から相談を受けたことはあるのか。受けた場合、どのような回答をしたのか。その回答の理由は何か。
 個々の施設ごとに地域の資本が地域振興の観点から買い取るとの考えはなかったのか。

二 今回売却するのは、かんぽの宿等だけでなく、各施設に附帯する社宅等の施設及び首都圏社宅九施設を含むとのことである。この九施設とは具体的にどこを指すのか。
 かんぽの宿等に附帯する社宅については従業員の住居確保の観点から一応理解できる。しかし、首都圏社宅九施設について、かんぽの宿と一括売却する理由は何か。

三 今回売却対象となった七十施設、各施設に附帯する社宅等の施設及び首都圏社宅九施設の不動産鑑定評価額を個別に明らかにされたい。

四 宮内義彦オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEOは、郵政民営化の際に政府の総合規制改革会議議長及び規制改革・民間開放推進会議議長を務めていた。総合規制改革会議及び規制改革・民間開放推進会議において、郵政民営化や公的な宿泊施設が議題とされたことはあるのか、あるとすれば、どのような内容だったか。
 規制改革を推進した者が、それによりビジネスチャンスを得ることは、法律に違反していないとはいえ、鳩山総務大臣の言うとおり、「李下に冠を正さず」の精神からすると、問題ではないか。

五 百年に一度と言われる、現在のような金融危機下の経済状況において不動産を売却するのは、安値で売却する結果となり、経済合理性の観点から問題ではないか。平成二十四年九月三十日までに売却すればよいのである。現在よりも経済状況が好転してから売却した方がよいと考えるが、日本郵政株式会社が今、売却する理由を明らかにされたい。

六 今回の入札手続について告知日、告知内容、告知方法、応募企業数、オリックス不動産株式会社の落札額、その他の応募企業名及びその入札額を明らかにされたい。また、入札をやり直すべきではないかと考えるが、政府の考えを明らかにされたい。

七 去る一月九日の衆議院予算委員会において西川善文日本郵政株式会社社長は、かんぽの宿は不採算事業であると発言しているが、年間の赤字額は、どのくらいあるのか。

八 そもそも日本郵政株式会社法附則第二条でかんぽの宿等を平成二十四年九月三十日までに譲渡又は廃止するとした趣旨は何か。

九 今回の売却とは別に日本郵政株式会社がかつて沖縄県那覇市に所有していた土地をオリックスグループであるオリックス・アルファ株式会社という会社が取得した事実はあるのか、あるとすれば、その売却手続(入札の有無、入札を実施した場合の告知日、告知内容、告知方法、応募企業数、入札額)について明らかにされたい。

  右質問する。