質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

金融機能の強化のための特別措置に関する法律における資本増強の方法に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月二十七日

大久保 勉   


       参議院議長 江田 五月 殿



   金融機能の強化のための特別措置に関する法律における資本増強の方法に関する質問主意書

 金融機能の強化のための特別措置に関する法律(以下、「法」という。)については数々の論点があり、第百七十回臨時国会では、その改正案について議論がなされた。法の改正案は昨年十二月十二日に成立したものの、同日発表された「生活防衛のための緊急対策」において、法に基づく資本参加枠が従来の二兆円から十二兆円に拡大(以下、「枠の拡大」という。)されるなど、その後の経過について看過できない問題がある。
 よって、以下の質問をする。

一 平成二十一年一月七日付の毎日新聞東京版朝刊第一面において、地方銀行及び第二地方銀行のうち、政府が設けた基準に該当する四十行以上に対し、政府が一斉に資本増強を行う方向で検討しているとの記事(以下、「新聞記事」という。)が掲載されたが、これは事実かどうか明らかにされたい。

二 新聞記事によれば、地方銀行及び第二地方銀行の資本増強の必要性について、各銀行の経営判断よりも政府の行政判断が優先するかのごとき印象をもたらしかねない。法において、各銀行からの申請を待たず、政府の判断で強制的または半強制的に資本を増強することが可能かどうか、問一の回答如何に関わらず、明らかにされたい。また、不可能ということであれば、可能となるように法を改正することを検討しているか、あわせて明らかにされたい。

三 近年、金融行政が事前規制中心から事後監視中心へと転換した、もしくは転換を目指しているとの評価について、政府の見解を明らかにされたい。

四 問一において事実ではないと回答し、かつ、問二前段において不可能であると回答し、さらに問三において評価を是認またはおおよそ是認する場合、新聞記事の内容は、政府の方針について国民に誤解を与えることはもとより、地方銀行及び第二地方銀行の経営内容及び経営判断へのあらぬ憶測を惹起することで状況の悪化をもたらし、ひいては法による資本増強を新聞記事自らが呼び起こす可能性すらあるが、この点に関する政府の見解を明らかにするとともに、誤解を払拭するための主体的な取組について、金融庁長官による記者会見以外に行ったか、もしくは検討しているか、示されたい。

五 枠の拡大規模について、過去の公的資本増強の実績額(約十二兆四千億円)とともに、対象金融機関の半数が申請した場合における、当該金融機関の合計ティア1自己資本額の半額(約十二兆円)及び合計リスクアセットの四%(約十一兆円)が根拠であると政府は説明している。しかし、法の対象金融機関とその地域における中小企業との取引状況等を個別に勘案することなく、全体として機械的に試算を行うことについて、法の趣旨にそぐわないとの疑問の声が上がっているが、この点における政府の見解を示されたい。

六 政府は、株価や為替等の状況が金融システムへ与える影響の試算を行っているか、明らかにされたい。なお、行っていると回答する場合、試算の結果と枠の拡大との関連性を明らかにされたい。

  右質問する。