質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第七号

教科書検定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月九日

糸数 慶子   


       参議院議長 江田 五月 殿



   教科書検定に関する質問主意書

 教科用図書検定調査審議会(以下、「検定審」という)は二〇〇八年十二月二十五日、教科書検定手続きの見直し等に関し、教科別各部会の議事概要を事後公表するなどとした報告書を塩谷立文部科学相に提出した。報告書には、教科書検定手続きの改善として、①会議自体は非公開とするが、部会や小委員会の審議概略などの議事概要を作成し、検定審査終了後に公開する、②教科書調査官作成の調査意見書、審議会の各委員がどの部会や小委員会に属しているかを示す委員分属などを検定審査終了後に公開する、③申請図書や訂正申請などの情報流出で調査審議に支障がある場合、部会判断で審議の一時停止などの措置を講ずる-などが盛り込まれている。また、教科書検定基準の改善においても、執筆者、監修者の担当個所を教科書で明記する-などが盛り込まれているが、これらの改善策について「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」や「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の関係者、執筆者らは事後公表や情報流出に関しての審議の一時停止措置、さらに執筆者、監修者の担当分野の明記などを問題視しており、透明性に逆行し、執筆者や教科書出版社に対して厳しい情報管理や規則を課している、と指摘している。
 よって、以下、質問する。

一 文部科学省は、検定審の報告書を基にした検定基準案や検定規則の一部を改正する省令案(二〇〇九年四月一日施行予定)を本年一月二十四日までのパブリックコメント(意見公募)を経て決定するとしているが、本質問主意書への答弁時点でのパブリックコメントの件数、内容等を明らかにされたい。

二 パブリックコメントの結果、その意見が実際に活用された過去の事例について、いくつか明示されたい。

三 報告書序文には改善策への契機として高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」(強制集団死)の記述をめぐる検定過程の不透明さを挙げているが、いまなお、「集団自決」に対する検定意見が撤回されないのはなぜか、その理由を明らかにされたい。

四 検定審において検定意見の撤回等に関する規定の新設について検討されたことはあるのか、明らかにされたい。

五 二〇〇七年の高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決」の記述に関する訂正申請の際、執筆者らが申請の文案を公表したが、この文案の公表は報告書に盛り込まれているような情報流出による審議支障にあたり、審議の一時停止の措置に該当することになるのか、明らかにされたい。

六 教科書調査官の選考基準に関し、報告書では「今日的な状況にそぐわない面がある」として必要な見直しを行うこととするとされており、見直しの対象となる要件の存在を示唆する記述がなされている。明示された年齢要件を含め、報告書で見直しが想定されている要件と、各要件の見直しの必要性に対する文部科学省の見解を示されたい。

  右質問する。