質問主意書

第171回国会(常会)

質問主意書


質問第五号

国民健康保険被保険者等に対する必要な医療の確保に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年一月八日

小池 晃   


       参議院議長 江田 五月 殿



   国民健康保険被保険者等に対する必要な医療の確保に関する質問主意書

 国民健康保険の被保険者証の取り上げによって重症でも医療機関にかかれず、手遅れになるといった悲劇が日本全国で起こっている。また滞納分を納めなければ被保険者証の交付を一切認めないという対応をしている自治体も多く、被保険者証交付を依頼したにもかかわらず交付されないため、自己負担が支払えず体に異常を感じても病院にかかることができなくなり、病状が悪化して病院に担ぎ込まれたときには余命一年を宣告されたという事例も生まれている。
 病気や失業・倒産などで「払えない」人からも、保険証を取り上げられているのが実態であり、厚生労働省保険局長も参議院厚生労働委員会で、「市町村によっては一律、機械的な運用がなされている懸念もある」(二〇〇八年十二月四日)と言わざるを得ない状況にある。国民健康保険行政が国民の命を奪うことになっており、保険証取り上げはただちに止めるべきである。
 一方で、厚生労働省保険局国民健康保険課長及び同省雇用均等・児童家庭局総務課長の連名で出された「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」(二〇〇八年十月三十日付け保国発第一〇三〇〇〇一号・雇児総発第一〇三〇〇〇一号。以下「留意事項通知」という。)の「緊急的な対応としての短期被保険者証の発行」の中で、「世帯主が市町村の窓口において、子どもが医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況であると考えられること、資格証明書が納付相談の機会を確保することが目的であることにかんがみ、緊急的な対応として、その世帯に属する被保険者に対して、速やかな短期被保険者証の交付に努めること」とされている。
 国民健康保険の被保険者等の必要な医療を確保するため現行制度の下で必要な手だてを取ることが求められており、その観点から、以下質問する。

一 留意事項通知の引用部分は「子どもが医療を受ける必要が生じ」と「子ども」に限定しているようにもみえるが、ここで示された考え方は「子ども」に限定されたものなのか。

二 世帯主が市町村の窓口において、当該世帯に属する者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずるとして留意事項通知に示された解釈に従って国民健康保険被保険者証の交付を行うべきではないのか。

三 留意事項通知について舛添要一厚生労働大臣は参議院決算委員会において「(医療費の)一時払いが困難であるという申出さえあれば結構で、医療の必要性という要件は必要ではありません」(二〇〇八年十一月十七日)と答弁している。また水田邦雄厚生労働省保険局長は同委員会で留意事項通知でいう緊急対応について滞納保険料納付は必要ない旨答弁している。
 留意事項通知は国民健康保険法第九条第三項(及び国民健康保険法施行令第一条)に規定する「特別の事情」についての考え方を示したものである。留意事項通知やそれに関する厚生労働大臣などの答弁を踏まえると、国民健康保険料(税)の滞納が一年をこえた世帯について、当該世帯に属する者が糖尿病の治療を継続しているなど医療を受ける必要が現に生じており、かつ、医療機関に対する医療費一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には保険料の納付ができない特別な事情に準ずる状態にあるので国民健康保険被保険者証の返還を求めることはできないのではないか。

四 少なくとも前記三のような場合には国民健康保険被保険者証の返還を求めるべきではないのではないか。

  右質問する。