質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


第百七十回国会答弁書第一四六号

内閣参質一七〇第一四六号
  平成二十一年一月九日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出障害者マル優制度の縮小に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出障害者マル優制度の縮小に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、御指摘の国会における答弁を踏まえ、関係府省に対し、政策決定の考え方等の確認を行ったところであり、今後も、政策決定が行われる過程等においては、関係府省と連携を密にしてまいりたいと考えている。

二について

 障害者の権利に関する条約(仮称)第二条においては、「合理的配慮」の定義として、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」(仮訳)と規定されている。御指摘の「障害者の財産形成を支援するための税制」が、障害者を対象としてその財産形成を支援するという一般的な税制であるとすれば、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるもの」には当たらないのではないかと考えられる。

三から五までについて

 障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度については、郵政民営化等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)により郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)に基づく郵便貯金が廃止され、旧日本郵政公社の郵便貯金の機能を承継する郵便貯金銀行(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第九十四条に規定する郵便貯金銀行をいう。以下同じ。)は銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)上の銀行として預金の受入れを行うものとなったため、同非課税制度は廃止されたものであり、郵便貯金銀行について一般の銀行に認められる所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第十条に規定する障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度以外の措置を認めることは郵政民営化の趣旨に照らして適当でないことから、御指摘のような検討は行っていない。

六及び九について

 郵政民営化関連法律案の立案に当たっては、地方懇談会、タウンミーティング及び郵政民営化TVキャラバン等を通じて、幅広く国民の意見を聴取したところである。

七及び八について

 郵政民営化により郵便貯金銀行は銀行法上の銀行として預金の受入れを行うものとなったため、障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度は廃止し、郵便貯金銀行の預金利子については、一般の銀行の預金利子に認められる障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度の適用対象となったものであり、民営化後に郵便貯金銀行に対し預入をする預金の利子については、一般の銀行の預金利子と同様の扱いとなるものである。
 なお、障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度のこれまでの利用者に配慮して、民営化前に預入をし、同非課税制度の適用を受けていた定期性の郵便貯金の利子については、その貯金の満期までは引き続き非課税とする経過措置を設けたところである。

十及び十一について

 障害者の自立と社会参加を支援するため、年金や手当等の給付、税制上の措置等の施策を講じているところであり、今後とも必要な支援を行ってまいりたい。

十二について

 老人等に係る郵便貯金の利子所得の非課税制度、少額預金の利子所得等の非課税制度及び少額公債の利子の非課税制度(以下「少額貯蓄非課税制度」という。)については、平成十四年度税制改正において、高齢者に係る世代内・世代間の税負担の公平確保、貯蓄優遇の是正等の観点から、それまで非課税とされていた老人の預貯金等の利子等について、少額貯蓄非課税制度の適用対象から除くこととし、その結果、障害者等を対象とする制度へと改組したところである。

十三及び十四について

 郵政民営化により郵便貯金銀行は銀行法上の銀行として預金の受入れを行うものとなったため、障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度は廃止し、郵便貯金銀行の預金利子については、一般の銀行の預金利子に認められる障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度の適用対象としたところである。
 なお、当該改正を行うに当たっては、民営化前に預入をし、障害者等の郵便貯金の利子所得の非課税制度の適用を受けていた定期性の郵便貯金の利子については、その貯金の満期までは引き続き非課税とする経過措置が適切に講じられているところである。