質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二一号

内閣参質一七〇第一二一号
  平成二十年十二月十二日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷博之君提出障害の範囲見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷博之君提出障害の範囲見直しに関する質問に対する答弁書

一から三まで、九及び十について

 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第四条に規定する身体障害者は、障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項に規定する障害者に該当し、同法上、一定の要件を満たす場合には、障害福祉サービスを受給することができることとなっている。
 お尋ねの肝臓病、多発性硬化症、重症筋無力症、膠原病、白血病その他の疾病を有する方についても、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者に該当し、かつ、障害者自立支援法上の一定の要件を満たす場合には、障害福祉サービスを受給することができるものである。

四の1について

 「障害者の権利に関する条約」(仮称)(以下「条約」という。)の目的は、その第一条第一文に規定されているが、同文に規定する「障害者」の概念については、条約前文(e)において「障害が、発展する概念であり、並びに障害者と障害者に対する態度及び環境による障壁との相互作用である」(仮訳)とされていることを踏まえ、条約第一条第二文において、「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む」(仮訳)と規定されている。

四の2について

 条約においては、「障害」又は「障害者」について定義されておらず、条約の実施に当たり、条約第一条の規定を踏まえつつ、いかなる範囲の者を「障害者」と位置付けて施策を講じるかについては、各国の判断にゆだねられていると考える。また、一から三まで、九及び十についてで述べたとおり、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者は、障害者自立支援法第四条第一項に規定する障害者に該当し、同法上、一定の要件を満たす場合には、障害福祉サービスを受給することができることとなっているところであり、このような取扱いが、条約の目的や理念、憲法第十四条に反するとは考えていない。

五について

 市町村においては、期限を区切って認定することとした場合であっても、医師の意見書等によっては、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することは困難であると考えており、お尋ねの他の条件についてもお答えすることは困難である。

六について

 お尋ねについては、例えば、六十五歳以上の高齢者であって、短期間の療養を要する方などを念頭に置いている。

七について

 厚生労働省としては、御指摘のとおり、六十四歳以下の多発性硬化症、重症筋無力症の方々の中に、介護等の福祉サービスを必要としている方々がいることは承知しており、これらの方々のうち、障害者自立支援法に基づくサービスの対象とならない方々を対象として市町村が実施する難病患者等居宅生活支援事業に対する補助を行っているところである。

八について

 障害程度区分認定においては、要介護認定と同様の一次判定のほかに、障害程度区分認定独自の調査等を踏まえた二次判定を行うこととしており、要介護認定によって要介護の状態にあると認定された者であっても、必ずしも障害者自立支援法における介護給付の必要性が認められるとは限らないと考えている。

十一について

 御指摘の「議論整理案」に記述しているとおり、客観的なニーズ判定手法はない。

十二について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかでないが、身体障害者手帳の所持をサービス給付の要件としないこととした場合、市町村において、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することは困難であると考える。

十三について

 障害者自立支援法上、訓練等給付を含む障害福祉サービスについては、当該サービスが必要となる者を対象とするものであり、障害者として認定されず、その支給が必要とは認められない者に対して、これを支給することは考えていない。

十四から十六までについて

 身体障害者手帳の所持をサービス給付の要件としないこととした場合、市町村において、障害の程度がサービス給付の対象となる程度のものであるか否かを具体的に判断することが困難となることなどが懸念される。

十七について

 お尋ねのような試算は行っていない。

十八について

 障害者自立支援法上の障害福祉サービスを希望する方については、まず、身体障害者福祉法に基づき、身体障害者手帳の交付の申請をしていただき、その交付を受けていただく必要があるが、当該申請自体が制限されているわけではない。

十九及び二十について

 御指摘の機能障害の意味するところが必ずしも明らかでないが、一から三まで、九及び十についてで述べたとおり、身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者は、障害者自立支援法第四条第一項に規定する障害者に該当し、同法上、一定の要件を満たす場合には、障害福祉サービスを受給することができることとなっている。また、身体障害者福祉法第四条においては、同法別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものを身体障害者として定義している。

二十一について

 お尋ねについては、難病者の方からの意見聴取を適切に行うことで、必要な検討を行っていくことが可能であると考えたためである。

二十二について

 これまでも、難病者の関係団体から、随時御意見をお伺いしてきているところであり、また、障害者部会が本年七月及び八月に行った関係団体からの意見聴取の際にも、難病者の所属する障害者団体から御意見をお伺いしたところである。このため、障害者部会において、新たに難病者の意見を代表する委員を補充する予定はない。