質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇七号

内閣参質一七〇第一〇七号
  平成二十年十二月五日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員櫻井充君提出介護保険に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出介護保険に関する質問に対する答弁書

一について

 現行の介護報酬については、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第二条第三項の趣旨を踏まえ、個々人の心身の状況等に応じた標準的に必要な介護サービスの水準を適切に評価したものであること、介護サービスを提供する事業者が行う介護報酬の請求事務の負担軽減が図られるものであること、介護サービスを提供する事業者において効率的な事業運営を行うことが促進されるものであること等を基本的な考え方として、包括的な報酬体系を原則とすることとしたものである。

二について

 要介護認定及び要支援認定(以下「要介護認定等」という。)に係る事務費については、市区町村等の一般会計から支出されているが、厚生労働省としては、その具体的な額については把握していない。

三について

 介護認定審査会においては、コンピュータによる一次判定では評価することが困難な申請者の個々の心身の状況を評価するために二次判定を行うものであるが、厚生労働省が平成十八年度の状況について調査した結果によると、お尋ねの割合は、一次判定において要支援一とされた事例について三十六・三パーセント、要介護一相当とされた事例について二十二・七パーセント、要介護二とされた事例について二十六・六パーセント、要介護三とされた事例について二十六・〇パーセント、要介護四とされた事例について三十・七パーセント、要介護五とされた事例について十二・九パーセントとなっている。

四について

 平成二十年六月審査分に係る介護給付費実態調査の結果によると、要介護度別の平均利用率は、要支援一が四十六・八パーセント、要支援二が三十九・七パーセント、経過的要介護が四十九・四パーセント、要介護一が四十・七パーセント、要介護二が四十七・四パーセント、要介護三が四十九・九パーセント、要介護四が五十五・八パーセント、要介護五が五十七・一パーセントである。

五について

 介護保険制度においては、個々人の心身の状況に応じた標準的に必要な介護サービスについて保険給付を行うこととしており、このような保険給付を公平に行うためには、要介護認定等により、申請者の介護の必要度に応じて、保険給付の受給権の有無及び給付額を決定する必要があると考えている。

六について

 平成十九年賃金構造基本統計調査によると、介護支援専門員(ケアマネージャー)の「きまって支給する現金給与額」は一月当たり二十六万七千百円となっている。
 介護支援専門員が利用者に対して行うケアマネジメントについては、要介護認定等の結果を踏まえ、介護支援専門員が利用者と面談して心身の状態や生活状況等を把握することにより、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援すべき課題を明らかにした上で、必要なサービスを利用者に適切に提供するために実施するものである。したがって、要介護認定等は、適切なケアマネジメントの実施のための前提となるものであり、これが無駄であるとの指摘は当たらないものと考える。

七について

 介護保険制度における保険給付は、要介護認定等の結果を踏まえ、利用者のニーズ等を勘案して作成されるケアプランに基づいて提供されたサービスについて行われるものであり、現在の保険給付費の規模は、利用者のニーズを反映したものであると認識しているが、今後、高齢化の進展により介護サービスに要する費用の増大が見込まれる中で、国民が安心して介護を受けられるようにするためには、社会保険方式としての制度の根幹を維持しつつ、給付の合理化や効率化に取り組むとともに、利用者負担、保険料、公費を適切に組み合わせながら、将来にわたって介護に必要な費用を賄う財源を安定的に確保していくことが重要であると考えている。