質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一〇六号

内閣参質一七〇第一〇六号
  平成二十年十二月五日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員櫻井充君提出後期高齢者医療制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員櫻井充君提出後期高齢者医療制度に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 後期高齢者医療制度については、従来の老人保健制度において、いわゆる現役世代と高齢者世代との費用負担の在り方が不明確であり、今後増加が見込まれる費用の負担について理解を得ることが困難となるおそれがあること、高齢者に対する医療の給付は市町村が行う一方、保険料の徴収は各保険者が行うこととなっており、運営責任が不明確であること、加入者の属する保険制度によって保険料額に格差があることなどの問題点があったことから、七十五歳以上の高齢者等の医療費について、現役世代と高齢者世代との負担割合を明確化すること、都道府県単位の後期高齢者医療広域連合を運営主体とし、責任を明確化するとともに、加入者間の保険料額の格差を縮小することなどにより、国民の高齢期における適切な医療を確保することを目的として創設したものである。
 しかしながら、制度の説明が不十分であったことに加え、七十五歳以上ということのみを制度加入の基準としたこと、原則として年金から保険料を徴収することとしたことなど、高齢者の心情にそぐわない点があったものと考えている。
 このため、健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第二条第二項の規定による施行後五年を目途とした検討を前倒しし、高齢者に納得していただけるよう、関係者の意見も聞きながら、今後、一年を目途に必要な見直しを検討することとしている。

三について

 お尋ねは、後期高齢者終末期相談支援料の算定に関することと思われるが、後期高齢者終末期相談支援料は、医師、看護師等の医療従事者から病状等について適切な説明がなされ、患者と医療従事者との間で当該病状に対する診療方針について話合いを行い、患者が終末期における療養について十分に理解した上で、患者の自発的意思を尊重して決定された診療方針を文書等により患者に提供する場合に算定できることとなっており、患者が延命治療を受けるのか否かを意思表示することは算定要件とはなっていない。また、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)においては、延命治療の定義については規定されていない。
 なお、後期高齢者終末期相談支援料については、算定凍結の措置を講じたところである。

四について

 がんに限らず、死に至る病気に罹患した場合の告知の在り方については、告知を受ける意思があるか否かの確認の在り方を含め、「終末期医療のあり方に関する懇談会」において、平成二十年に行われた「終末期医療に関する調査」の結果を参考にしながら、今後、検討されることとなるものと考えている。

五について

 厚生労働省としては、医師は他の医療関係者とともに、患者の年齢、理解度、心理状態、家族や社会的な背景に配慮した上で、患者や家族の要望を踏まえ、適切な時期に、適切な方法で行う必要があると考えているが、お尋ねのような制度を構築することは、現時点では考えていない。

六について

 お尋ねについては、若者と比べて高齢者の方が一人当たりの受診日数が多いことが原因であると考えている。

七について

 七十五歳以上の高齢者の方においても、早期発見・早期治療のための健康診査は重要であると考えており、実際に、すべての都道府県の後期高齢者医療広域連合において健康診査が行われているところである。
 また、男女間で平均余命に違いが見られるが、七十五歳以上の高齢者の健康診査において、男女差を考慮する必要は特にないと考えている。