質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第九八号

内閣参質一七〇第九八号
  平成二十年十二月二日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出司法試験の合格者数と法曹人口のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出司法試験の合格者数と法曹人口のあり方に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 司法修習生の修習を終了し、その直後に弁護士となった者の数は、平成十五年は八百二十二人、平成十六年は九百八十三人、平成十七年は九百五十四人、平成十八年は千二百二十三人、平成十九年は二千四十三人である。このうち他の弁護士等の経営する法律事務所に勤務することとなった者の数は把握していないが、現時点において、弁護士による法的サービスの提供に関して具体的な問題が生じているとは認識しておらず、「司法制度改革推進計画」(平成十四年三月十九日閣議決定)における「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころには司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指す。」との施策を見直す必要はないと考えている。

二及び五について

 司法制度改革審議会は、その調査審議の結果を取りまとめた平成十三年六月十二日付け意見書において、「我が国の法曹人口は、先進諸国との比較において、その総数においても、また、司法試験、司法修習を経て誕生する新たな参入者数においても、極めて少なく、我が国社会の法的需要に現に十分対応できていない状況にあり、今後の法的需要の増大をも考え併せると、法曹人口の大幅な増加が急務であることは明らかである。」、「このような観点から、当審議会としては、法曹人口については、計画的にできるだけ早期に、年間三千人程度の新規法曹の確保を目指す必要があると考える。」、「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、新制度への完全な切替え(中略)が予定される平成二十二(二千十)年ころには新司法試験の合格者数を年間三千人とすることを目指すべきである。このような法曹人口増加の経過を辿るとすれば、おおむね平成三十(二千十八)年ころまでには、実働法曹人口は五万人規模(法曹一人当たりの国民の数は約二千四百人)に達することが見込まれる。」とした。
 司法制度改革推進法(平成十三年法律第百十九号)は司法制度改革が右の司法制度改革審議会の意見の趣旨にのっとって行われることとしているところ、政府は、この意見の趣旨にのっとり、司法制度改革推進計画において、「法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころには司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指す。」としたものである。

四について

 年間三千人程度に達した後の司法試験合格者数については、今後の我が国の社会において想定される法的需要に照らして必要となる法曹の質と量や、法曹の養成のための中核的な教育機関である法科大学院の教育成果等を勘案して決定すべき事項であると考えている。