質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第八〇号

内閣参質一七〇第八〇号
  平成二十年十一月十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員辻泰弘君提出診療報酬のオンライン請求の完全義務化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員辻泰弘君提出診療報酬のオンライン請求の完全義務化に関する質問に対する答弁書

一について

 保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)が行う電子情報処理組織の使用による診療報酬等の請求(以下「オンライン請求」という。)の義務化は、すべての保険医療機関等が対象となるものであるところ、平成二十年五月診療分について社会保険診療報酬支払基金が集計した結果によれば、レセプトコンピュータを使用して診療報酬等の請求を行った保険医療機関等の数は、医科の病院が八千七百八施設、医科の診療所が七万五千九百二施設、歯科の病院が千三百二十六施設、歯科の診療所が五万五千三百六十施設、薬局が四万七千六十施設である。一方、レセプトコンピュータを使用せずに診療報酬等の請求を行った保険医療機関等の数は、医科の病院が百二十三施設、医科の診療所が一万二千七百二十六施設、歯科の病院が三百三十二施設、歯科の診療所が一万四千百四十六施設、薬局が四千五百五十八施設である。
 また、お尋ねの「レセコン無かつ少数該当かつ既設」については、レセプトコンピュータを使用していない保険医療機関等であって、年間の請求件数が、療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号。以下「請求省令」という。)附則第四条第一項の表中第七号及び第八号に規定する条件に該当するものを指すと考えられるが、これらの数については、現時点では把握していない。また、お尋ねの療養の給付費額についても把握していないが、平成十九年度における療養の給付費額を含む概算医療費は約三十三・四兆円である。

二について

 御指摘の「別に定める日」については、今後の保険医療機関等におけるオンライン請求の実施状況を勘案して決定することとしているが、その具体的な決定時期については未定である。

三について

 お尋ねについては、平成十八年度及び平成十九年度に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部評価専門調査会医療評価委員会において、保険医療機関等を対象にアンケート調査を行っているが、例えば、レセプトオンライン化の効果に関する質問に対して、実際にオンライン請求を行っている保険医療機関等の約六割が職員の業務負荷の軽減につながったと回答しており、また、約三割が病院経営の改善につながったと回答している。

四について

 お尋ねについては、審査支払機関におけるレセプトのオンライン請求システムや歯科レセプト電算処理システムの開発に対する助成に要する経費などについて、平成十八年度に三十億四千二百四万九千円、平成十九年度に一億四千九百六十九万六千円、平成二十年度に十七億八千二十九万八千円の予算を計上している。

五について

 オンライン請求の義務化に当たっては、(1)オンライン請求の義務化に係る請求省令の改正規定の施行までの間に十分な準備期間を設けていること、(2)レセプトコンピュータを使用していない小規模な保険医療機関等においては、オンライン請求を行うためには一定の期間を要すると見込まれることから、オンライン請求の義務化後においても一定の猶予期間を設けていること、(3)事務代行者を介してのオンライン請求を認めていること等から、すべての保険医療機関等がオンライン請求の義務化に対応することは十分に可能であると考えている。

六について

 お尋ねについては、すべての保険医療機関等がオンライン請求を行うことによって、初めて医療保険事務全体の効率化を図ることが可能となるものであり、個別の保険医療機関等の判断にゆだねることは適当でないと考える。

七から九までについて

 お尋ねについては、先の答弁書(平成十九年十一月九日内閣参質一六八第四六号)三から五までについてでお答えしたとおりである。