質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六五号

内閣参質一七〇第六五号
  平成二十年十月三十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出ラムサール条約第十回締約国会議における日本政府の対応方針に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出ラムサール条約第十回締約国会議における日本政府の対応方針に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全の促進並びに湿地の適正な利用を目的とする、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(昭和五十五年条約第二十八号。以下「条約」という。)の重要性を認識し、条約の実施促進に努力している。このような努力の一環として、「第三次生物多様性国家戦略」(平成十九年十一月二十七日閣議決定)も踏まえ、地方自治体や非政府組織とも連携しつつ、湿地の保全と適正な利用に向けた取組の促進を図っている。条約第十回締約国会議(以下「COP10」という。)においては、このような我が国における取組を紹介するとともに、各締約国、国際機関、非政府組織等に対して、広く条約の実施促進のための更なる取組を呼び掛ける所存である。

二について

 政府としては、関係省庁の連携の下、過去の条約締約国会議で採択された選定基準に適合していること、法令に基づく保護が図られていること及び関係地方自治体等からの賛意が得られていることの三つの要件を満たした湿地を、条約に基づく登録簿に掲げる湿地として順次指定してきたところである。
 今後とも、関係省庁の連携の下、関係地方自治体等の理解と協力を得ながら、条約及び関連法令を踏まえ、順次指定していく考えである。

三について

 政府としては、条約の実施やこれに関連する普及啓発活動においては、国内外の非政府組織や環境団体との連携が重要であると認識しており、これまで関係省庁、関係地方自治体及び国内の関係非政府組織の代表により構成される連絡会議を毎年開催してきたところである。また、COP10においては、それに先立ち開催される「湿地に関する世界NGO会議」の結果が報告される予定であるが、そのような機会もとらえつつ、議場の内外において非政府組織等との意見交換を積極的に行う予定である。

四について

 御指摘の韓国政府が準備している「水田に関する宣言」とは、我が国政府と韓国政府がCOP10に共同提案している、水鳥を始めとした多様な生物の生息地としての水田の重要性を認識する「湿地システムとしての水田における生物多様性の向上」と題する決議案を指すものと考える。我が国としては、COP10の終了後、同決議案の趣旨を踏まえ、各国に対して生物多様性の向上のために水田が果たす役割の重要性を訴えていく予定である。
 これに加えて、我が国としては、我が国や世界各国に存在する自然共生の智恵や伝統、自然資源の持続的な利用形態や社会システムを把握し、自然共生社会の形成のために活用していくことを、「SATOYAMAイニシアティブ」として、生物の多様性に関する条約(平成五年条約第九号)の締約国会議などの場で提案していくこととしている。

五について

 我が国は、これまでも、東アジア・オーストラリア地域における渡り性水鳥及びその生息地である湿地の保全促進や、途上国の条約履行のためのプロジェクトの支援など、アジア地域における湿地の保全に関して積極的なリーダーシップを取ってきている。COP10においても、我が国のリーダーシップによる国際的取組を引き続き推進していくことを表明しつつ、アジア諸国を始めとする各国に対しても更なる取組を求めていく予定である。

六について

 政府としては、国内外の国際会議の概要や争点について、国民に広く情報を提供し、理解を得ることは極めて重要であると認識している。この観点から、これまでも関係省庁のホームページ等を通じて情報提供に努めてきており、今後もそのような取組を行っていく所存である。