質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六三号

内閣参質一七〇第六三号
  平成二十年十月三十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員谷岡郁子君提出竹林被害と竹の資源活用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出竹林被害と竹の資源活用に関する質問に対する答弁書

一について

 林野庁では、平成十一年度から、五年間で全国を一巡するサンプリングによる森林資源の調査(以下「モニタリング調査」という。)を実施しており、その一巡目の調査結果によれば、竹が著しく侵入していると考えられる森林の面積は、全国で約二十五万ヘクタールと推計されている。
 また、平成十六年度から実施している二巡目のモニタリング調査の結果については、平成二十一年度中に取りまとめる予定である。

二について

 造林地に植栽した樹木以外の木竹が侵入し、森林の育成に支障が生じる場合に行う当該木竹の除去等の処理について、森林整備事業等の補助対象としているところである。
 また、竹の加工施設等の整備に対して助成するとともに、竹材の利用促進のための技術開発など、竹資源の有効活用に向けた取組を行っているところである。
 なお、森林整備事業等においては、竹以外のものも除去等の処理の対象となるため、竹のみを対象とした処理の実績については把握していない。

三について

 バイオ燃料の製造に当たっては、竹を含め、原材料の供給が不安定であること、原材料の生産から輸送、バイオ燃料の製造までの各工程のコストが高いことなどが課題となっていると考えている。
 このような課題の解決を図るため、農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律(平成二十年法律第四十五号)が平成二十年十月一日から施行されたところであるが、同法第二条第三項に規定する特定バイオ燃料として、農林漁業有機物資源のバイオ燃料の原材料としての利用の促進に関する法律施行令(平成二十年政令第二百九十六号)第二条第一号及び第二号において、「竹炭」及び「木竹に由来する農林漁業有機物資源を破砕することにより均質にし、乾燥し、かつ、一定の形状に圧縮成形したもの」が掲げられているなど、竹はその活用を推進すべきバイオマスの一つとして位置づけられている。
 竹を利用したバイオ燃料の製造については、農林水産省の委託研究プロジェクトである「地域活性化のためのバイオマス利用技術の開発」において、平成十九年度から五年間の予定で竹のエタノール化に関する研究を開始したところである。
 また、平成二十年度より、竹を利用した発電や熱供給に関する実証研究が実施される予定である。

四について

 農山村地域は、竹に由来するものを含めバイオマスの供給に関して極めて重要な役割を担うものであることから、バイオマス施策の推進によりバイオマスの新たな需要の開拓とその有効活用を図ることを通じ、農林業の持続的かつ健全な発展に寄与し、農山村地域の活性化に資するものと考えている。

五について

 竹利用の普及促進については、竹垣などの建築資材やかごなどの生活資材といった従来の用途のみならず、新たな用途への利用を普及することが重要であると考えている。
 このため、「森林・林業・木材産業づくり交付金」の交付により、竹を粉末状にして飼料などの新規用途に供するための加工施設の整備等を支援しているほか、平成二十年度からは、「特用林産物消費・流通総合支援対策事業」により、低コストで竹資源の有効利用ができるような竹林管理方法の検討及び竹林作業用機械の開発等を支援しているところであり、これらの施策によって、竹利用の普及促進に努めてまいりたい。

六について

 平成十九年三月に林野庁森林整備部研究・保全課が、森林の造成及び維持のための植栽等を行っている団体を対象に実施した「森林づくり活動についてのアンケート」によると、平成十八年度に行った活動の主な内容、目的を問う質問に対して回答のあった千九十二団体のうち二百四十五団体が、「竹林の整備」を挙げており、その中には森林に侵入した竹による被害に対応する活動が含まれていると考えている。
 また、森林に侵入した竹による被害に対応する市民ボランティア等の取組に対しては、「地域活動支援による国民参加の緑づくり活動推進事業」により助成を行っているところである。
 なお、御指摘の竹林対策へのボランティア参加とそこで得られた竹利用とを結びつける事例や構想については、ボランティア団体が竹の伐採に加えて竹炭の製造を行うなど、地域ごとの創意工夫で行われているものと認識している。