質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六一号

内閣参質一七〇第六一号
  平成二十年十月三十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出共同親権法制化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出共同親権法制化に関する質問に対する答弁書

一について

 民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十九条は、父母が離婚した場合について、父母のいずれかをその子の親権者とするいわゆる単独親権制度を採用している。離婚後に父母の双方が子の親権者になるいわゆる共同親権制度については、離婚した夫婦間の紛争がそのまま離婚後に持ち越され、その結果、子の養育監護についての適切な合意をすることができなくなるなど、かえって子の福祉に照らして望ましくない事態が生ずるおそれがある。したがって、法務省としては、単独親権制度は、合理性があると考えており、現在の実情に合わなくなってきているとは考えていない。

二について

 一についてで述べたとおり、単独親権制度が現在の実情に合わなくなってきているものとは考えていない上、民法第七百六十六条第一項は、父母は、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項をその協議により定めることができるものとし、同条第二項は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができるものとしており、親権者とは別に子を監護すべき者を定めるなどの柔軟な対応も可能としている。したがって、法務省としては、御指摘のような問題は生じていないと考えており、単独親権制度の見直しを早急に検討すべき状況にあるとも考えていない。

三について

 一についてで述べたとおり、いわゆる共同親権制度には子の福祉に照らして望ましくない事態が生ずるおそれがあるから、法務省としては、この制度の導入については、慎重に検討すべきものと考えている。