質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四八号

内閣参質一七〇第四八号
  平成二十年十月二十一日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員近藤正道君提出東京電力による柏崎刈羽原発周辺の敷地及び敷地近傍の地質・地質構造に関する補足説明の誤りと誤りに基づく政府の調査・審査のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員近藤正道君提出東京電力による柏崎刈羽原発周辺の敷地及び敷地近傍の地質・地質構造に関する補足説明の誤りと誤りに基づく政府の調査・審査のあり方に関する質問に対する答弁書

一の1について

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ(以下「合同WG」という。)の第十八回会合において、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)から、番神砂層下部水成層の上限面等を確認するために東京電力が行った露頭調査の結果等について、資料「東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所敷地及び敷地近傍の地質・地質構造に関する補足説明」(以下「補足説明」という。)を用いて説明があったが、これを踏まえ、平成二十年十月二日に原子力安全・保安院が、補足説明に記載された露頭に係る現地調査を行った際、補足説明の九頁及び十一頁の記載に一部誤りがあることを確認した。

一の2について

 補足説明の九頁及び十一頁の記載に一部誤りがあることについては、今後の合同WGにおいて、原子力安全・保安院からその事実を説明する予定である。

二の1について

 原子力安全・保安院は、東京電力が調査した十地点の露頭の写真を、東京電力から入手している。

二の2及び3について

 番神砂層下部水成層の上限面についての東京電力と地元住民の主張が異なっていることについては、補足説明及び原子力安全・保安院が行った現地調査を通じて確認しているものの、現時点で政府として同上限面の認定を行ったとの事実はない。今後、東京電力による同上限面の標高等の測定結果の妥当性を確認するとともに、必要に応じ、同上限面の標高等の測定を行うこととなる。

二の4について

 番神砂層下部水成層の上限面の標高が、地震を引き起こす可能性のある地殻構造運動に伴う褶曲及び活断層の評価や真殿坂断層の活動性の評価にどのように影響するかも含め、真殿坂断層の活動性等について専門家の意見を聴きながら検討を行うこととなる。

三の1について

 補足説明の九頁及び十一頁の記載に一部誤りがあることについては、今後の合同WGにおいて、原子力安全・保安院からその事実を説明する予定である。

三の2について

 補足説明の九頁及び十一頁の記載に一部誤りがあるものの、東京電力が調査した露頭の位置自体に誤りがあったわけではないことから、地震を引き起こす可能性のある地殻構造運動に伴う褶曲及び活断層の評価や真殿坂断層の活動性の評価には影響しないと考えている。

三の3及び4について

 番神砂層下部水成層の上限面の標高については、現在、検討しているところであり、引き続き、地震を引き起こす可能性のある地殻構造運動に伴う褶曲及び活断層の評価や真殿坂断層の活動性の評価にどのように影響するかも含め、専門家の意見を聴きながら検討を行うこととなる。

四について

 現在、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定)に基づき、柏崎刈羽原子力発電所の敷地及び敷地周辺において耐震設計上考慮すべき活断層についての評価を行っているところであり、この評価を進めていく中で、東京電力から提出された資料に基づく検討だけでなく、必要に応じ、原子力安全・保安院による現地調査や、東京電力が実施した調査の元データの確認等を行うこととなる。

五について

 新潟県中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性等に係る検討においては、専門家の意見を聴くとともに、必要に応じ、原子力安全・保安院による立入検査や現地調査のほか、東京電力が行った地震応答解析の結果の妥当性に関する独立行政法人原子力安全基盤機構による検証等を行ってきている。したがって、事業者の調査報告等を「検証することなく正しいものとして扱う」との御指摘には当たらないものと考えており、現行の調査・審査体制を直ちに改善する必要があるとは考えていない。