質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二五号

内閣参質一七〇第二五号
  平成二十年十月十日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員近藤正道君提出柏崎刈羽原発の敷地内を通る「真殿坂断層」等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員近藤正道君提出柏崎刈羽原発の敷地内を通る「真殿坂断層」等に関する質問に対する答弁書

一の1から7までについて

 勝山地区集会場周辺の農道が冠水するとの事実については承知している。また、真殿坂断層と直交する排水路の真殿坂断層近傍の損傷と思われる箇所については、平成二十年十月二日に確認している。
 現在、御指摘の農道冠水や排水路の損傷を含め、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性の観点から、真殿坂断層の活動性について専門家の意見を聴きながら検討を行っているところであり、現時点で政府の見解を述べることは差し控えたい。

二の1から3までについて

 敷地周辺及び近傍の変状地形については、御指摘の点も含め、柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性の観点から、専門家による現地調査や審議を踏まえながら検討を行っているところであり、現時点で政府の見解を述べることは差し控えたい。

三の1について

 東京電力から、平成十六年七月二十三日に撮影された空中写真で亀裂を確認したとの報告を受けているが、当該空中写真の撮影者、撮影目的、撮影範囲、標定図等については、現時点では確認していない。

三の2について

 国土地理院が平成十六年七月二十四日、平成十七年五月四日及び同月二十一日に撮影した椎谷海岸の状況と、東京電力から報告された平成十六年七月二十三日に撮影された空中写真については、現時点では比較していない。

三の3について

 平成十六年七月二十三日に撮影された空中写真で亀裂を確認したとの東京電力の主張については、これまで総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループにおいて東京電力から説明を受け、専門家に審議していただいているところである。なお、御指摘の、原子力安全・保安院による東京電力からの報告の引用については、原子力安全・保安院が地元議会等に同ワーキンググループの審議状況を報告するために資料を作成した際、同ワーキンググループにおいて東京電力より示された写真データを用いたものである。

三の4について

 御指摘の問題を含め、これまで、敷地及び敷地周辺の変状地形について専門家による現地調査等を行ってきたところであり、当該現地調査等を踏まえ、検討を行うこととしている。

四の1について

 政府としては、御指摘の「北前船の係留石柱」の沈降等を否定しておらず、また、この地域を含む広域的な地殻変動を否定するものではない。

四の2について

 現在、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定)」に基づき、柏崎刈羽原子力発電所の敷地及び敷地周辺において耐震設計上考慮すべき活断層についての評価を行っているところであり、この評価を進めていく中で必要が生じた場合には、御指摘の点についても検討を行うこととなる。

五の1から3までについて

 柏崎刈羽原子力発電所の敷地及び敷地周辺における東京電力の調査結果を踏まえ、追加的な調査の必要性を含め、専門家の意見を聴きながら、真殿坂断層の活動性について検討を行っているところである。

六の1について

 安田層で構成された平坦面は中位段丘面として認識している。また、御指摘の番神砂層が上部の風成層と下部の水成層で構成されるものを指すとすれば、下部水成層で構成された平坦面は中位段丘面に相当するものと認識している。

六の2について

 柏崎刈羽原子力発電所の敷地周辺における安田層及び番神砂層下部水成層で構成される中位段丘面の分布高度の標高差が生じた原因も含め、地震を引き起こす可能性のある地殻構造運動に伴う褶曲及び活断層について、専門家の意見を聴きながら検討を行っているところである。

七について

 柏崎刈羽原子力発電所の敷地周辺について、東京電力の調査結果を踏まえ、地震を引き起こす可能性のある地殻構造運動に伴う褶曲及び活断層について、必要に応じて現地調査を行いつつ、専門家の意見を聴きながら検討を行っているところである。御指摘のあった番神砂層下部水成層の標高差については、必要に応じ、現地調査を行うこととなる。

八の1及び2について

 東京電力は、採取したテフラについて、当該テフラの火山ガラスの屈折率等と「新編火山灰アトラス」に示される鬼界葛原テフラ、阿多鳥浜テフラ及び加久藤テフラの三候補のテフラの火山ガラスの屈折率等との対比により、採取したテフラを阿多鳥浜テフラと同定しているが、政府としては、この同定が妥当なものかどうか、専門家の意見を聴きながら検討を行っているところである。

八の3について

 東京電力は、安田層をMIS5eまでに堆積した地層として、耐震設計上考慮すべき活断層の評価を行っているが、政府は、耐震設計上考慮すべき活断層を評価するに当たっては、MIS5e以降に堆積した地層に断層による変位変形が及ぼされているかを評価しており、御指摘の不整合面や粗粒堆積物の確認が不可欠であるとは考えていない。

九について

 我が国の原子力安全規制の体制については、エネルギー政策に責任を負う経済産業省に設置された原子力安全の確保のための特別の機関である原子力安全・保安院が一次的な規制を実施し、その実効性をより一層高めるため、内閣府に設置された原子力安全委員会が、原子力安全・保安院に対して客観的、中立的な立場から、一次規制の妥当性を確認する「ダブルチェック体制」を構築しており、この体制の下で、事業者の申請内容等を厳格に審査し、原子力安全の確保に万全を期しているところである。