質問主意書

第170回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二二号

内閣参質一七〇第二二号
  平成二十年十月七日
内閣総理大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員藤末健三君提出米印原子力協定へのわが国の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出米印原子力協定へのわが国の対応に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 お尋ねの米印原子力協定は、平成十七年七月の民生用原子力協力に関する米印合意を受け、平成十九年七月三十日に実質交渉が妥結した、原子力の平和的利用に関する協力のためのインド政府及びアメリカ合衆国政府との間の協定案のことを指すものと考える。
 同協定案の発効要件の一つとなる、原子力供給国グループ(以下「NSG」という。)の「インドとの民生用原子力協力に関する声明」については、平成二十年九月五日に発表されたムカジー・インド外務大臣の声明においても述べられたインドの核実験モラトリアムの継続をはじめとして、民生用の原子力施設への国際原子力機関(IAEA)保障措置の適用、NSGガイドラインの遵守を含む厳格な輸出管理の実施等のインドのコミットメント及び行動に基づくものであることが明確にされ、また、これらのコミットメント及び行動を通じて、インドに対する不拡散措置が現在より強化され、インドの原子力活動の透明性が高まるとともに、国際的な核不拡散体制の外にいるインドによる更なる不拡散への取組を促す契機となると考えられたこと等から、我が国としては、ぎりぎりの判断として、同声明に関するコンセンサスによる採択に加わった。
 今回の決定は、国際社会がインドのコミットメント等を重視した結果であり、我が国としては、インドがこの決定の趣旨を重く受け止め、国際的な核不拡散体制の維持・強化のために責任ある行動をとるよう引き続き強く求めていく。また、インドに対し、非核兵器国としての核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「NPT」という。)への早期加入、包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期署名・批准等を求めるとの我が国の立場には変わりはない。

三について

 NSGにおける議論の詳細については公表しないこととなっているが、「インドとの民生用原子力協力に関する声明」の採択に際して、我が国は、特に唯一の被爆国として、インドによる核実験モラトリアムの継続を重視しつつ議論に参加し、仮にインドによる核実験モラトリアムが維持されない場合には、NSGとしては例外化措置を失効又は停止すべきであること、また、NSG参加各国は、各国が行っている原子力協力を停止すべきであることを明確に表明した。また、我が国としては、一、二及び四についてで述べた我が国の立場には変わりはないことについても改めて表明した。

五及び六について

 NPTを基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化のためには、核兵器のない平和な世界に向けた、具体的かつ着実な取組を一歩一歩進めていく必要がある。我が国は、この考え方を示した核軍縮決議案を国連総会に提出し、圧倒的多数の支持を得てきている。また、今般、我が国はオーストラリアとともに、世界の傑出した有識者から成る核不拡散・核軍縮に関する国際委員会を設置した。この委員会は、二千十年NPT運用検討会議の成功に貢献するため報告書を提示する予定である。政府としてこの委員会を支援していくとともに、来年の第三回準備委員会を含めた二千十年NPT運用検討会議に向けた議論に参加していく考えである。