質問主意書

第170回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四九号

要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年十二月二十二日

小池 晃   


       参議院議長 江田 五月 殿



   要介護調査・認定の見直しに関する質問主意書

 来年度実施にむけて要介護調査・認定制度の見直しが進められている。今回の見直しでは調査の簡素化などを目的とする調査項目の大幅な削減、介護認定審査会(以下「認定審査会」という。)提出資料の簡素化などが行われており、関係者からはより軽度に判定されることになるのではないか、現在以上に実態が反映しにくくなるのではないかと心配の声が寄せられている。
 実際モデル事業の認定審査会に携わった方からも、介護度はより重度と思われるが資料からはそれがわかりにくいなどの指摘がある。
 そこで以下質問する。

一 調査・認定の見直しにおいて、「主治医意見書により代替可能」な項目は削除するとされている。

1 日常的に要介護者の介護業務を行っていない主治医が、「暴言・暴行」「異食行動」などについてどの程度状態を把握できると考えているのか。十分に判断できるとするなら、その根拠を示されたい。
2 調査項目がなくなることで、項目ごとの特記事項がなくなると、認定審査会に重要な情報が伝わらなくなるおそれはないのか。

二 社会保障審議会介護給付費分科会(以下「給付費分科会」という。)に提出されたモデル事業用審査会資料の見本を見ると、従来あった「2 認定調査項目」の「〇●」の欄、「3 中間評価項目得点表」のレーダーチャート、「4 日常生活自立度の組み合わせ」の当該自立度の場合の介護度分布の資料、「5 認知機能・廃用の程度の評価結果」の廃用の程度に関する調査項目の認定調査結果や認知機能・廃用の認定から推定される給付区分の項目や情報が削除されている。モデル事業に携わった方からは、一次判定結果よりも実際の状態の方がより介護度が重いのではないかと疑われる場合でも、情報が少ないため介護度変更が非常に難しくなっているという声が寄せられている。これまで認定審査会に提供してきた項目・情報を減らすことにより適正な判定ができなくなるのではないか。

三 新しくする認定ロジックのデータは、これまでと同じく入居施設のデータによるものである。

1 「電話の使用」などは、項目を削除してもロジックに影響がないと言うが、それは施設のデータにもとづいているからではないか。
2 「火の不始末」のように生活実態の基本や、命にかかわるような項目を削除して適正な判断ができるのか。
3 在宅、もしくは在宅により近いグループホームなどのデータをもとにした要介護調査・認定の仕組みを作っていくべきではないか。そうしてこそより実態を反映した要介護認定となるのではないか。

四 現在でも、「状態に変化はないのに、更新で、要介護認定が軽度になった」などの苦情が寄せられている。実際モデル事業の結果では、要介護度五の出現状況は一次・二次判定結果でも現行制度のもとでの判定との乖離が見られ、給付費分科会でも問題点が指摘されている。今回の調査・認定の「見直し」で、申請者の生活実態にてらして、より軽度に判定されるようになるおそれはないのか。

五 事務負担軽減など、見直しの趣旨に賛同する自治体からも、調査項目の大幅な削減については、「情報不足となり、認定審査会の審査・判定が不安定になる」「問題行動の多い認知症の方の場合、介護度が軽度になる可能性がある」などの意見が出されており、来年度四月の実施を延期して、さらに慎重に検討すべきではないか。

  右質問する。